投稿より 「主人の言葉」

 1月末の朝、仕事に行こうと玄関に立ったとき、電話が鳴りました。主人の入院先の病院からです。前日、訪れたばかりでした。

 「汗をかいたので下着の準備をして来てください」。慌てて仕事の休みを取り、病院に向かいました。病室に着くと、ベッドがカーテンで囲まれ、主人は酸素ボンベを付けて荒い息をしている状態でした。

 これは大変なことになってしまっている、と思いました。登校した2人の娘を迎えに行くように弟にお願いしました。中学1年生と小学5年生でした。

 3人で主人の顔をのぞきました。「お前たちを天国から見守っているからな」。最期の言葉でした。

 もしも、自分が病院に行く時間が遅れたら。もしも、娘たちの到着が遅れたら。主人の死に目に会えなかったかもしれません。

 46年前のことです。

 主人が亡くなってからは、義母を含めた4人の生活になりました。いろんな出来事を思い出します。一生懸命働きました。娘たちも成長し、就職することができました。義母は、長女が初めて子どもを産んだ年に亡くなりました。

 今は孫が5人。皆、社会に出て一生懸命働いています。私も好きな卓球を続けています。この年齢でも声を掛けていただき、大会に参加することもあります。卓球仲間から「頑張っている広田さんが目標」と言っていただけることが励みになります。ありがたいと思いながら自分を奮い立たせる毎日です。

 体調は課題も出てきています。主人が天国で見守ってくれているから、できるところまで行こうと心に誓っています。

(広田俊子 82歳 主婦 石巻市日和が丘)

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