いつしか歳をとってしまいました。「若い」と思っても、あと数年で八十の大台に。
最近、「フレイル」という言葉がよく聞かれるようになりました。英語で frail と綴ります。手元の辞書を見ると「弱い、脆い」で fragile 、 delicate と同義語です。
高齢化の波は全国に広がり、東京新聞(6月7日)によれば長野県松本市の病院などでは「フレイル外来」の開設に乗り出しているとのこと。私も含めて戦後の「ベビー・ブーム」世代の存在が、いま、このような動きを促しているのでしょう。
「フレイル=弱い」と聞くと、 Shakespeare(シェイクスピア)の Hamlet(ハムレット)の台詞を思い出してしまいます。
Frailty, thy name is woman.
弱きもの、汝の名は女
Woman is frail. でなく、 Frailty を主語に持ってきた巧みさには感心させられます。
さて、シェイクスピアの劇に「 As You Like It 」(邦題「お気に召すまま」)というのがありますが、その中で人の一生の最後を次のように記しています。(* sans = without)
Last scene of all,
That ends this strange eventful history,
Is second childishness and mere oblivion,
Sans teeth, sans eyes, sans taste, sans everything.
最後の場面、
この波乱の歴史の最後に、
第二の子供時代と単なる忘却...
歯もなく、目もなく、味わいもなく、全てがない。
一生がこのように終わるのは虚しいですが、これが真実です。
大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)