コラム: 七夕選挙

 7月7日の都知事選挙に向けて、東京は今、盛り上がっているようですね。知事一人を決めるだけなのに、これほど関心が高いのはどうしてか、不思議なくらいです。

 「知事」はサンスクリットの「カルマ・ダーナ」( karma-dāna )が語源とされています。仏教寺院で雑事や庶務をつかさどる役職の名として用いられていたようです。これが仏教伝来とともに中国語に入ってきた。「知」は「つかさどる」の意。「知事」は中国において地方行政官庁の長を指す官職名になったのです。

 英語では governor と言いますが、古代ローマの属州やイギリスの海外領土では「知事」ではなく「総督」と訳されることも。日本では、明治維新の過程を経て地方行政の長を「知事」と呼ぶことが制定されていきました。

 「選挙」は英語で election 。語源は、ラテン語の「 eligere 」で、これは「選び出す」や「選択する」という意味をもちます。 vote は「投票する」、 poll は「投票所」「投票数」、 ballot は「投票用紙」「無記名投票」を表します。

 今回の都知事選。あまりの過熱ぶりに織姫も彦星も苦笑いしているかも。

 七夕は奈良時代に中国から日本に伝わったもの。英語で説明するのは難しいようです。

   Tanabata is on the 7th July every year.
   We write our wishes on a strip of paper and put it on a bamboo tree.
   (七夕は毎年7月7日です。
   短冊に願い事を書いて竹に飾ります。)

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)