コラム: 言葉のオリンピック

 " L'important, c'est de participer. "「重要なのは、参加することである」...フランスのピエール・ド・クーベルタン男爵のこの言葉が近代オリンピックの出発点と言われています。

 古代ギリシャ人たちは普段は互いに憎みあい、戦争を行いましたが、オリンピアの地でゼウス神にささげる祭典が開催される間だけは戦争を一時的に停止しました。クーベルタンはこの故事に倣ったのです。

 IOC( International Olympic Committee = 国際オリンピック委員会)がオリンピック大会を運営しています。また、IOCは1985年に「パラリンピック( Paralympic )」を大会名として用いることを正式に認めました。 para (英語の「パラレル」の語源)は、ギリシャ語で「平行」を意味します。「もう一つのオリンピック」とされたのです。

 さて、オリンピックに関連してか「アスレチック」という言葉を耳にするようになりました。「運動競技の」 athletic に由来し、 athletics は名詞でスポーツ全般、健康保持のための運動を意味します。「アスリート」 athlete は運動選手で、特に陸上競技の選手のことを言う場合が多いようです。

 お馴染みの sport という言葉は15世紀の初め頃にイギリスで生まれたとされます。元はフランス語の desport (デスポール)という言葉で「気晴らし」や「楽しみ」という意味です。

 オリンピックを機に以上のような言葉について考察してみることも面白いでしょう。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)