コラム: hospital と hotel

 先日、石巻赤十字病院を訪れる機会がありました。以前、湊にあった建物と比べてその大きさに驚くほど。あたりは農地。その中にそびえる病院の偉容さに圧倒されました。

 英語で「病院」を意味する hospital は、13世紀中頃「必要とする人々のための避難所」として使われラテン語の hospitale 「宿屋、旅館」から由来するものです。

 ホテルの語源は、旅人・客・宿主を意味するラテン語の hospes (ホスぺス)からきています。ホスペスは中世のヨーロッパにおいて、十字軍の兵士および旅人が宿泊するために教会が作った施設のこととなります。

 これはホスピタリティという言葉の大本になっていてポティス(力・権力・所有)という意味と、ホスティス(他人・外人・敵)が合わさって出来た言葉で、客人を保護するものという意味があります。

 それと同時に、主人とお客がもてなしの中でひとつになるということから、 hospitality とは身近にあるコミュニティーの外部からやってくる客人を受け入れて、かつ保護するという行為となります。

 11世紀ごろにヨーロッパを巡礼途中にスイスの峠を越えようとする旅人たちが、疲れ果てて修道院の扉をたたいた際、その修道院が快くその旅人たちを受け入れた宿泊所をホスピスと呼んでいました。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)