2024年度の「石巻かほく」川柳の最優秀賞が石巻市水押の阿部磨さん(84)、優秀賞が東松島市赤井の片岡シュウジーさん(82)、石巻市あゆみ野の日野信吾さん(77)にそれぞれ決まった。阿部さんは初の最優秀賞。選者の水戸一志さん(利府町)が選考した。
<選者・水戸氏の評>
年間成績は入選句の得点(佳作1点、◎2点)の累計順位に従った。例年通り、最優秀賞は過去3年間の受賞者を対象外にした。
最優秀賞の阿部さんは、身の回りの日常と石巻の地域性を題材に、コツコツと投句を重ねた根気良さが結果につながった。◎は「北風が串刺しイワシ味醸す」の1回だけだが、対象への貪欲なまなざしを伝える句がたくさん入選している。「解禁も磯焼け憎しウニ痩せて」など、海や漁業に関する得意分野があることも強み。
優秀賞の片岡シュウジーさんと日野信吾さんはともに前年度に続いての受賞で、実力は折り紙付き。「棒読みで核を否定し傘の下」(片岡さん)、「再稼動町の人心明と暗」(日野さん)。両者とも人間の内面を突く時事吟がさえた。
志田正次さん、藤田笑子さん、夢香さん、佐々木スヅ子さんら「次世代」の活躍も目立った。
<受賞者の声>
【最優秀賞・阿部磨さん】
素晴らしい表彰をいただき、心から感謝申し上げます。新聞という場で作品を読んでいただき、本当に幸せです。
川柳に触れるきっかけを作ってくれたのは、漁師としてつながりがあり、石巻かほくにも作品を投稿している津田調作さんです。もう70年ほどの付き合いになります。
津田さん夫婦とは、取った魚をお裾分けしたり、逆に山菜を頂いたりしていました。ある日、ゴボウを炒めて甘辛く味付けした「ゴボウいり」を作ったのでお裾分けすると「うまかったな。お前作ったのか、ゴボウいり」と笑顔で言ってくれました。
自然と五七五調になっていたその言葉を紙につづり、津田さんに渡すと「お前も始めてみろ」と背中を押してくれました。俳句の季語などの基礎も教わりました。本当に感謝しています。
石巻かほくに川柳の投稿を始めたのは2019年4月です。日々の中で、心に浮かぶ景色や感情を言葉に乗せていくことが私の喜びとなりました。現在は、主に漁師として働いていた日々、昭和の海などを題材にしています。
石巻かほくに掲載された作品は、その情景に合わせて娘がデジタルで描いた絵と一緒に、娘のブログで紹介しています。そこに寄せられる温かいコメントがやる気につながっています。今後も掲載作品を増やし、娘との作品を作っていきたいです。