コラム: お花見

 行きつけの寿司屋さんが掲げている写真があります。見たことのある風景。ご主人に尋ねたら「日和山の桜と宴会」とのことでした。

 満開の桜の下で仲間が集まっての宴会...これは昔からあるものです。桜は見るものではなく、文字通り宴に花を添えるものです。舞台装置と言ってもいいでしょう。

 歴史の本で読んだことがあります。その昔、遊郭・吉原でのこと。この季節になると桜の木が運び込まれ、季節が終わるとその木がどこかへと運び出されたとのことです。

 桜の花というと、なぜか想起するのは隅田川です。歴史は古く、4代将軍徳川家綱が植樹させたのが始まりとされ、その後、8代将軍吉宗が100株の桜を植樹したことで桜の名所として有名になり、庶民の間で花見の習慣として定着したとのこと。

 桜の英訳は、〈木〉 a cherry tree 、〈花〉 cherry blossoms 。日本に興味関心がある外国人に対しては、日本語と同じ「 sakura 」でも通じることがあります。

 「夜桜」も趣がありますね。「弘前城に夜桜を見に行きました」は、 I went to Hirosaki Castle to view the cherry blossoms at night.

 3月末に、ほころび始めた今年の石巻地方の桜。4月1日以降の寒波によって気温が低下した影響からか、例年よりも長く満開の桜が楽しめそうだと言われています。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)