コラム: お墓

 親しい人との会話でお墓の話になりました。
 「私たちは入らない」と奥さん。
 「娘2人とも嫁いだら向こうのお墓に」
 「ではどうするの」
 「樹木葬を考えている」

 聞いてみると岩手の山の麓にそういう場所があり、すでに申し込んでいるとのこと。

 「樹木葬」は英語でどう表すのだろうと調べてみました。その名の通り tree burial でいいようです。

 例文も載っていたので参考まで。

   Tree burials may help solve issues of grave shortages.
   (樹木葬は墓地不足問題の解決に資するだろう)

 洋画に登場するお墓はほとんどが個人のもの。「~家先祖代々の墓」というのは日本独特のもののようです。

 調べてみました...。明治に入ると、家父長制(長男がすべての財産を継承し一族を束ねていく制度)を中心としたイエ制度に移行し、お墓は、供養と埋葬に加え、「○○家の墓」として家紋を彫るなど一族のシンボルともなります...。

 「火葬」は cremation と言います。動詞「火葬する」なら cremate となります。「火葬場」は crematorium 。

 「~家の墓」で墓地はいっぱい。でも、最近では個人の墓も増えてきているように思えます。人は生きて死ぬ、しかもいつ死ぬかはわからない。私たち人間はそんな不確かな存在です。不確かだけど生きてゆく...。お彼岸でお墓参りをしながら、いろいろと考えた次第です。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)


俳句(3/23掲載)

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【石母田星人 選】


ひと駅は短編ひとつ雪列車   松島町磯崎/佐々木清司

【評】句を読むとき、書かれずに省略されたものを探しながら読むと楽しい。この句では長い停車時間が隠されている。文庫本の短編を読めるほどの長さだ。動き出した安堵感とともに窓外の雪の深さも分かる。


寒明けや話の弾む精米所   石巻市蛇田/石の森市朗

【評】今なら「コメの値段はなぜ高い」などという内容か。これはそんな時事を抜きにして味わいたい。清らかな寒明けと精米の音に語らい。喜びの空間だ。


薄氷のひびに入り込む流れ雲   石巻市駅前北通り/小野正雄

【評】震災以降に味わった思いだろうか。それとも実景なのか。解釈すると妙味が半減してしまう句だ。


震災のあの夜の星がのしかかる   多賀城市八幡/佐藤久嘉

末黒野や大川小に竹あかり   石巻市新館/高橋豊

3.11鎮めしものの込み上げる   石巻市小船越/堀込光子

十四年あれこれ過る春の海   石巻市向陽町/成田恵津美

いくたびも無念の春や浜掻かれ   石巻市広渕/鹿野勝幸

供養碑の浜防風は友の声   石巻市のぞみ野/阿部佐代子

寒昴へ呼ぶ声穏し十四年   石巻市開北/ゆき

十四年黙祷の海春の雪   東松島市あおい/大江和子

日高見や濁り初めたり雪解川   石巻市中里/佐藤いさを

勢いを増して白波雪解川   石巻市元倉/小山英智

つぶやきのような香りよ冬木の芽   石巻市流留/大槻洋子

登校の坂を転げて雪の玉   石巻市小船越/芳賀正利

踏青や夢のひとつを聞いてみる   石巻市丸井戸/水上孝子

一歩から散歩再開風光る   石巻市蛇田/櫻井節子

薄氷張りてバケツの小宇宙   石巻市渡波/阿部太子

雛の間に晴着三枚競いおり   石巻市流留/和泉すみ子

初講習海へ漕ぎ出す櫂もらう   東松島市矢本/田舎里美

木の芽時引き出しの奥肩もみ券   石巻市湊/斎田流雲

水仙や笑顔のままで今朝もあい   石巻市門脇/佐々木一夫

橋を行く一両電車木の芽晴   石巻市桃生町/西條弘子

本棚の眠る画帳や冴返る   石巻市中里/川下光子

福寿草枯れ草かぶりほっこりと   石巻市真野/高橋としみ


川柳(3/23掲載)

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【水戸一志 選】


北風と太陽ならなあ国と国   東松島市矢本/田舎里美

【評】イソップ物語の「北風と太陽」は子ども心に納得がいった。力ずくで物事を解決しようとしてもうまくいかない。国と国の関係もこの教訓に学ぶべきだという句である。一見幼稚だが、だから大人はダメなのよと言われたらどうする。言葉がない。


自営業畳み安堵のありがとう   石巻市桃生町/佐藤あき子

青春のあまりに眩し卒業歌   東松島市大塩/小野よし

気持ちでしょ新横綱は迷いあり   石巻市二子/大松道山

改めて火の不始末は大火なり   石巻市水押/小山信吾

環境の変化期待ぞアコヤガイ   石巻市のぞみ野/阿部佐代子

ホワイトデーはがきにしてと逆指定   東松島市矢本/菅原京子

どこからか聞こえる「令和枯れすすき」   石巻市あゆみ野/日野信吾


2024年度石巻かほく「川柳」 阿部磨さん、初の最優秀賞

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 2024年度の「石巻かほく」川柳の最優秀賞が石巻市水押の阿部磨さん(84)、優秀賞が東松島市赤井の片岡シュウジーさん(82)、石巻市あゆみ野の日野信吾さん(77)にそれぞれ決まった。阿部さんは初の最優秀賞。選者の水戸一志さん(利府町)が選考した。

<選者・水戸氏の評>

 年間成績は入選句の得点(佳作1点、◎2点)の累計順位に従った。例年通り、最優秀賞は過去3年間の受賞者を対象外にした。

 最優秀賞の阿部さんは、身の回りの日常と石巻の地域性を題材に、コツコツと投句を重ねた根気良さが結果につながった。◎は「北風が串刺しイワシ味醸す」の1回だけだが、対象への貪欲なまなざしを伝える句がたくさん入選している。「解禁も磯焼け憎しウニ痩せて」など、海や漁業に関する得意分野があることも強み。

 優秀賞の片岡シュウジーさんと日野信吾さんはともに前年度に続いての受賞で、実力は折り紙付き。「棒読みで核を否定し傘の下」(片岡さん)、「再稼動町の人心明と暗」(日野さん)。両者とも人間の内面を突く時事吟がさえた。

 志田正次さん、藤田笑子さん、夢香さん、佐々木スヅ子さんら「次世代」の活躍も目立った。

<受賞者の声>

【最優秀賞・阿部磨さん】

20250323-004.jpg 素晴らしい表彰をいただき、心から感謝申し上げます。新聞という場で作品を読んでいただき、本当に幸せです。
 川柳に触れるきっかけを作ってくれたのは、漁師としてつながりがあり、石巻かほくにも作品を投稿している津田調作さんです。もう70年ほどの付き合いになります。
 津田さん夫婦とは、取った魚をお裾分けしたり、逆に山菜を頂いたりしていました。ある日、ゴボウを炒めて甘辛く味付けした「ゴボウいり」を作ったのでお裾分けすると「うまかったな。お前作ったのか、ゴボウいり」と笑顔で言ってくれました。
 自然と五七五調になっていたその言葉を紙につづり、津田さんに渡すと「お前も始めてみろ」と背中を押してくれました。俳句の季語などの基礎も教わりました。本当に感謝しています。
 石巻かほくに川柳の投稿を始めたのは2019年4月です。日々の中で、心に浮かぶ景色や感情を言葉に乗せていくことが私の喜びとなりました。現在は、主に漁師として働いていた日々、昭和の海などを題材にしています。
 石巻かほくに掲載された作品は、その情景に合わせて娘がデジタルで描いた絵と一緒に、娘のブログで紹介しています。そこに寄せられる温かいコメントがやる気につながっています。今後も掲載作品を増やし、娘との作品を作っていきたいです。


短歌(3/16掲載)

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【斉藤 梢 選】


「登りこよ」言うがごとくに荻浜の暗き海へと天使の梯子   石巻市流留/大槻洋子

【評】東日本大震災発生より14年。3月11日、黒い大津波が「荻浜」を襲った。私が、この作品を読み、この選評を書いているのは3月10日。震災以降、毎年3月になると震災の報道が多くなる。「荻浜の暗き海へと」と表現している作者の心の中には、3月11日からの言葉にできないものがあるのかもしれない。荻浜の海を見ながら天上の人からの声を聞いたのかもしれない。この一首の解釈は人によって異なると思うが、私には「天使の梯子」が会いたくても会えない人とこの世に在る人を繋いでいると、思われてならない。


何もかも値上がりて店に行くたびに代りにため息置いて帰りぬ   石巻市向陽町/成田恵津美

【評】「何もかも」という初句の言葉に頷く。必要なものを買うために「店に行くたびに」気づく値上がりという現実。どうにもならない事だけれど「ため息」をついてしまう作者。生活を詠む一首でもあり、社会詠でもある。短歌という定型は、時にこのようなやり場のない感情をも受け入れてくれる。「ため息」は目に見えないが「置いて帰りぬ」で、気持ちが伝わる。


晴れ間見て冬の畑に鍬振れど土は帰れと冷たい返事   石巻市桃生町/佐藤俊幸

【評】「土」の声を聞く作者。畑を耕すことは、土と対話することだろう。鍬を振るという行為を詠み込むことで見える作者の姿。人間がどのように自然と関わってゆけばいいかを、考える起点になる一首。


肩すぼめそぼ降る雨に赤い傘遅い春待つ赤い長ぐつ   石巻市西山町/藤田笑子

【評】しとしとと降る雨の日の「赤い傘」と「赤い長ぐつ」。この歌の主語は、二つの「赤」。童話の世界のような独特の雰囲気のある作品。作者も春を待つ。


回転寿司でいいなら百回つれてゆく行方不明の児よ孫よ三月   石巻市開北/ゆき

何事もなくカーテンを開け閉めるかかる平安しみじみ思う   石巻市あゆみ野/日野信吾

頑張れよ頑張れよとだけ聞こえくるその声どこから胸の奥から   東松島市矢本/畑中勝治

明日ありと思うは必須だが待てよ夜半の嵐も自然の摂理   石巻市南中里/中山くに子

病室の窓からはるかなあけぼのに放射線治療の覚悟を告げる   東松島市矢本/門馬善道

おおゆきのましろのせかいみわたせばその白の中ふるさとはあり   東松島市矢本/川崎淑子

良く眠ったただそれだけで幸せで静かに始まる老いの一日   東松島市赤井/佐々木スヅ子

大津波のあとには全部さまがわりあの小川さえ流れているのか   石巻市高木/鶴岡敏子

模様木(もようぎ)の新芽吹きいるさるなしよ沈みし老いに生湧(せいわ)きあがる   東松島市矢本/田舎里美

如月の雪に埋もれた墓へゆき雪の下からまた叱られる   多賀城市八幡/佐藤久嘉

おやすみと子の一言でひと日終え平凡なれど今日もよき日に   石巻市須江/須藤壽子

長ネギの畑の写真に「森の奏(かな)で」とう春の香の見えくるネーム   石巻市羽黒町/松村千枝子

しゃべりたいよ歩きたいよと願いつつ努力の日々をわれ紡ぎおり   東松島市野蒜ケ丘/山崎清美

大寒波来たりと言へど福寿草白壁背にし凜と咲きをり   石巻市門脇/佐々木一夫


川柳(3/16掲載)

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【水戸一志 選】


消えた米そろそろ自首し世のために   東松島市矢本/畑山講也

【評】米の値段が日本を揺らしている。農家が悪いのではない。お店が儲けようとしているのでもない。この中間に諸悪の根源がある。そうは問屋が卸さないという言葉の通りだ。政府が備蓄米を市場に出す。「悪うございました」と、問屋が自首するか。


投稿しこの14年振り返る   石巻市蛇田/福田敏和

春来たる福寿草から笑顔咲く   石巻市鹿又/角張のり子

春ちゃんが花ちゃん連れてやって来た   東松島市矢本/奥田和衛

出番待つ我が自転車とヘルメット   東松島市赤井/くどうさきこ

おにぎりが高値の花となる花見   石巻市新館/高橋豊

侵攻をしたもの勝ちは許さない   石巻市流留/和泉すみ子

トランプに安売りしない愛国心   東松島市赤井/片岡シュウジー


コラム: 春

 岩波新書のカラー版が発売となり、すぐに求めました。美術評論家の高階秀爾の筆になる「名画を見る眼」が装いも新たに出たからです。ページをめくると2番目に現れたのがイタリア・ルネッサンスを代表するボッティチェリの「春」。何年か前、イタリアを旅してフィレンツェのウフィツィ美術館でこの絵を目にした時の感動は忘れられません。春の森に集う古代神話の神々を描いた作品で、華やかで繊細な表現が特徴です。

 さて、英語で「春」はご存知 spring 。これが「バネ」や「泉」という意味でも使われます。

 spring については次の一節を繰り返し覚えました。

 If winter comes, can spring be far behind? (シェリーの詩から)

 イギリス詩人シェリーが詩で表現した一節です。困難な状況の中でも希望を見出すという意味が込められています。

 また、忘れられないのは、

    Spring is just around the corner.
    春はすぐそこだね

 学生時代、この文章を繰り返し覚えたものです。 around the corner というのが可愛らしくて。

 いい文章を暗誦すること...これが英語に限らず外国語を身につける Golden rule だと私は信じてやみません。その場合、いい文章や句を選ぶことが大事だと思います。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)


俳句(3/9掲載)

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【石母田星人 選】


萌黄色の背のびゆつくり春の山   石巻市流留/和泉すみ子

【評】<春あふれライオン山も背のびして>の先行句がある作者。春山を背のびと捉えたのは同じだが、今作は「萌黄色の背のび」とさらに上質に感受した。目覚めたばかりの山の空気感も伝わってくるようだ。


薄氷は天の手鏡踏まず行け   東松島市あおい/下山慶子

【評】大自然との対話で得た「薄氷は天の手鏡」という詩的感受が、下五のやや荒っぽい叫びを生んだ。


龍笛や響け枯野の果てまでも   石巻市渡波/阿部太子

【評】雅楽で演奏される龍笛。軽やかで迫力のある音色は舞い立ち昇る龍の鳴き声を表しているという。広大な枯野は、龍が飛翔するのにふさわしい空間だ。


鷺一羽降りて水辺の淑気かな   石巻市新館/高橋豊

息白し万石浦は水鏡   石巻市流留/大槻洋子

燦燦とかなたに春の居るここち   東松島市矢本/田舎里美

厳冬や奇祭の多きわが郷土   東松島市赤井/志田正次

ドンコ汁食めば写るや吹雪く海   石巻市駅前北通り/津田調作

原子炉につづく凍土に風一陣   多賀城市八幡/佐藤久嘉

冬帝や乳房も癌も生きている   石巻市開北/ゆき

落葉踏む七色の音返りくる   石巻市向陽町/成田恵津美

校門に警備のごとき雪達磨   石巻市小船越/芳賀正利

俎板に子持ちの真鱈畏まる   石巻市中里/佐藤いさを

一枝の木を動かして春きざす   石巻市丸井戸/水上孝子

クロッカス大地動かし天を突く   石巻市水押/阿部磨

シャツ通す腕の軽さや水温む   松島町磯崎/佐々木清司

木開きや心地良き風露天風呂   石巻市湊/斎田流雲

雪嵐色も形も塗り潰し   石巻市門脇/佐々木一夫

春の宵化粧直してレイトショー   東松島市矢本/菅原京子

春色のマニキュアふふふ通院日   石巻市桃生町/西條弘子

院内のケーキショップや斑雪   石巻市中里/川下光子

冬日向優しき光降り注ぎ   石巻市桃生町/西條和江

風吹きて剪定の枝ままならぬ   石巻市桃生町/佐藤俊幸

古里の細道染めて冬茜   石巻市元倉/小山英智

美容師の手さばき早しクロッカス   石巻市のぞみ野/阿部佐代子


川柳(3/9掲載)

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【水戸一志 選】


バラ売りを始めてほしい春キャベツ   東松島市あおい/添田潤

【評】キャベツ1玉が2分の1、4分の1カット売りはこのごろ当然。それほど異常な高値で、いっそのこと葉っぱを剥いてバラ売りにしては。冗談だろうが、これが川柳。レジの後、ごみ箱に捨てられていた大量のキャベツの皮はどこに行ったのか。


歩きますポスト往復川柳で   石巻市二子/小松道男

物価高夢グループにたのむかな   石巻市渡波/阿部芳明

神隠しそれともただの物忘れ   石巻市千石町/ひらやん

洗車後に黄色い悪魔襲来す   東松島市赤井/志田正次

澄む耳のピンポン恐怖症候群   東松島市野蒜ケ丘/山崎清美

寒波よりこわい円安物価高   石巻市三ツ股/上品夢好

トランプの威を借るマスク剥がしたい   石巻市蛇田/菅野勇


2024年度石巻かほく「短歌」 川崎淑子さん、初の最優秀賞

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 2024年度の「石巻かほく」短歌の最優秀賞に東松島市矢本の川崎淑子さん(77)、優秀賞は石巻市流留の大槻洋子さん(77)、同市南中里の中山くに子さんがそれぞれ決まった。川崎さんは初めて最優秀賞に選ばれた。選者の斉藤梢さんが選出した。

<選者・斉藤氏の評>

 最優秀賞は、川崎淑子さんの5月19日掲載の作品<満開の下の沼には糸とんぼ小さき命の強さを見せて>。
 満開の桜に向けられた視線が、その花の下の沼に移る。この時見つけた小さな「糸とんぼ」の姿に、命の強さを感じる作者。一つの気づきによって生まれた感慨に的確な言葉を与えて詠んでいる。春の日の一期一会を残す歌でもあり「命の強さ」と表現したところが、優れている。<新年を寿(ことほ)ぐ時の短さや地震の報にあの日が重なる>の一首も、心に残る。

 優秀賞は、大槻洋子さんの9月22日の<正しいと信じたものに迷うとき朝月淡く心許(もと)なし>。迷いを抱えつつ月に話しかける、この静謐(せいひつ)な時間。月は作者の心を映すかのように淡い。
 下の句のように月の表情を詠むことで、さらに明らかになる心の揺れ。自身の迷いと向き合っていることを、真に伝える心象詠。

 同じく優秀賞は、中山くに子さんの8月25日の<終日をオリンピックに魅せられて世界の波に揺れいる老いは>。昨年のオリンピック夏季大会を詠み残す一首。「世界の波に揺れいる」で、感動を表現しているところが巧みだ。各国の選手の気迫を感じて、作者もまた健やかになったことだろう。

<受賞者の声>

【最優秀賞・川崎淑子さん】

20250309-001.jpg うれしいです。斉藤先生には拙い作品を読んでくださっているだけでも感謝します。
 7年前に母が亡くなり、心にぽっかりと穴が空きました。当時一緒にパークゴルフをしていた知人が短歌を詠んでいたため、勧められて短歌に触れるようになりました。約1年間、短歌の通信教育を利用していましたが、知人に背中を押されて2019年に石巻かほくへの投稿を始めました。
 日常や自然、時事問題など、生活している上で目に入った物事を「どのようにしたら短歌にできるかな」と考えて作品にします。無理はせず、頭に浮かんだら作るようにしています。
 日ごろ花を育てており、生活の中で四季を感じていました。短歌の世界に入り、感じていたことを言葉で表現できるようになって喜びを感じています。
 自分の頭が動き、興味が尽きない限り、今後も短歌を作っていきたいと思います。