vol.09
従業員が健康で生き生きと働ける職場づくりを推進する「健康経営」は、今や企業に欠かせない経営戦略の一つ。宮城県や全国健康保険協会(協会けんぽ)宮城支部は、健康経営に取り組もうとする企業・団体を応援するさまざまな施策を打ち出しています。それらを活用して身近なことからスタートしましょう。
宮城県
宮城県は、山積する県民の健康課題を解決し健康づくりを推進することを目的に、2016年に「スマートみやぎ健民会議」を設立しました。863の登録企業・団体(21年4月末現在)と共に、第2次みやぎ21健康プランに掲げる「歩こう!あと15分」「減塩!あと3g」「めざせ!受動喫煙ゼロ」のスローガンのもと、健康づくりを自然に実践できる社会環境の整備に取り組んでいます。
しかし現状では、歩かない人が多い、食塩摂取量が多い、メタボの該当者・予備群の割合が全国ワースト2位(※厚生労働省「特定健診・特定保健指導の結果」(2018年度))など、いまだ生活習慣の課題や健康課題が多く、さらに健康づくりの体制整備を進めていく必要があります。
スマートみやぎ健民会議の会員に登録すると、各種健康情報が記載された「スマートみやぎ健民通信」や各種健康イベントの案内が届くほか、申請することで歩くアニメむすび丸や塩エコ、20年11月に開始した「脱メタボ!みやぎ健康3.15.0(サイコー)宣言」などのロゴマークを使用することができます。
会員になると、各種健康情報が届くほか、県のホームページに企業・団体名が掲載される。
また、県のホームページで企業・団体名や「スマートアクション宣言(会員が従業員や県民の健康づくりのために取り組む内容や目標)」が紹介されるので、企業のイメージアップにもつながります。
現在、職場での健康づくりに取り組んでいる企業はもちろん、今後取り組みたいと考えている企業も、まずはスマートみやぎ健民会議に登録し、健康経営への第一歩を踏み出しましょう。
協会けんぽ
宮城県内の中小企業を中心に、約4万1000の事業所が登録する協会けんぽ宮城支部。独自に推進する健康経営事業「職場健康づくり宣言」は2016年9月の開始以来5年目を迎え、登録する事業所数は1927、その被保険者数は約10万人に上ります(21年1月末現在)。事業開始当初と比較すると、「健康経営」の名称だけでなく、職場での健康づくりに対する理解が徐々に浸透しているといいます。
協会けんぽ宮城支部が推進する「職場健康づくり宣言」の登録には、六つの登録基準(図参照)を満たすことが必要です。その中で⑥の『事業所独自の健康増進対策に取り組むこと』の項目では、「栄養・食生活に関する情報提供や改善」「社内での分煙など禁煙環境の整備」「感染予防対策の徹底」「定期健診受診率100%達成」などに取り組む事業所が多い傾向にあります。一方で、「定期健診受診率100%達成」は実施していても、「社員の健康状態を把握し、健康づくりに向けた情報提供や指導を行っている」と回答する事業所は少なく、定期健診の結果が十分に生かされていないことが伺えます。
協会けんぽでは、健康診断でメタボの該当者があった場合、保健師を事業所に派遣し無料で指導を行うサポートを行っています。協会けんぽ宮城支部企画総務グループの蛭田悠平さんは「社員の生活習慣改善の支援は、当事者だけでなく事業主の皆さまにもご理解をいただかないと浸透は難しい。従業員の健康リスクを把握し、改善することは、生産性の向上や企業のイメージアップにもつながります。もっと積極的に支援を活用し、役立ててほしい」と呼びかけています。
協会けんぽ宮城支部のウェブプロモーション「今だ!健康経営だ!」では、オフィスの健康づくり“あるある”をユーモラスに紹介
「職場健康づくり宣言」登録後も事業所内での健康経営推進につながるよう、協会けんぽではさまざまなサポートを行っています。その取り組みの一つが年1回送付する「チェックシート」で、事業所が登録した項目を実践できているかを確認し、必要に応じて項目の変更・追加を行います。また、登録事業所内の健診受診者の過去3年間の結果を宮城県平均、同業種平均と比較した「サポートシート」も提供し、従業員の健康リスクや経年変化の把握に役立ててもらいます。「今後は広報誌や取組事例集で他事業所の取り組み内容や導入事例を紹介するなど、業種間での情報共有やサポートのさらなる充実を図りたいと考えています」と蛭田さん。また、職場での健康づくりとして「体重や血圧を毎朝みんなで計測しよう」などのルールをつくると社内全体に「自分も気を付けよう」という意識が醸成できるとアドバイスします。今後も協会けんぽ宮城支部は、さまざまな施策で職場における従業員の健康増進に一緒に取り組み、健康経営を支えていきます。
従業員の健康状態が一目でわかる「職場健康づくり宣言サポートシート」の一例。健康リスクの把握や改善に役立てたい
企業の健康経営担当者の悩みの一つが「健康行動を呼びかけても、多くの従業員には届かない」ということ。その課題をサポートするのが、法人向け健康習慣アプリ「サントリープラス」です。その特徴は、健康意識の低い人でも無理なく続けられる、超低ハードルな健康タスクとトクホなどの健康飲料の提供。タスクは生活習慣病予防の鍵となる「体脂肪」「血圧」「コレステロール」「血糖」の4項目に対応し、従業員自身が選んで登録。タスクを達成するとランクアップや称号バッジが届き、『やる気』を応援。飲料クーポンがもらえるうれしい仕掛けも。「サントリープラス」を導入した企業からは「楽しみながら続けられ、従業員の健康意識向上が期待できる」などの反響を呼んでいます。
気軽にできる健康タスクは、誰でも無理なく続けられる
「サントリープラス」導入企業の声
開発センター長 有本 仁志さん
当社では、今年3月より「サントリープラス」を導入しました。アプリを活用する従業員からは「健康を意識するきっかけになった」や「トクホなどの健康飲料を飲む機会が増えた」など、ポジティブな感想がよく聞かれます。また、アプリは食事内容や運動の記録も必要なく、簡単に操作できることも好評です。現在、社内の主な利用者層は40~50代となっていますが、今後は健康診断などの機会に利用者を増やし、幅広い年代の健康増進につながってほしいと思います。
飲料クーポンは、企業内の専用自販機で健康飲料と交換できる
サントリープラスの
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7月上旬開催予定
従業員の健康管理を経営的な視点で考え、実践する「健康経営」をテーマとした勉強会を開催いたします。
詳細は6月告知予定です。健サポフレンズ登録企業の方には河北新報社よりご連絡させていただきますので、興味のある方はぜひご登録ください。
次回特集紙面(8月上旬朝刊)にて
勉強会採録記事掲載予定
※取材は新型コロナウイルス感染防止対策を徹底し実施。取材終了後にマスクを外し顔写真の撮影を行いました。
2021年5月11日付 河北新報朝刊_特集紙面 Vol.9より転載
このページの内容は河北新報に掲載された特集紙面を一部再編集してご紹介しています。
河北新報掲載の特集紙面は以下よりダウンロードできます。