vol.10

健康経営勉強会 開催
健康にいきいきと働ける職場へ

楽しみながら健康に!
「健康経営」実践で企業力を高めよう!

健康の大切さが注目される昨今、企業にも従業員の心身の健康づくりと生活習慣の改善を図る「健康経営」が求められている。河北新報社は、経営者や労務管理者を対象に健康経営勉強会を会場とオンラインで同時開催。有識者の講演に、全国健康保険協会(協会けんぽ)宮城支部、協賛企業の取り組みが紹介された。

TOPIC. 01

“健康への思い”経営者は
従業員と共有を
~成果の上がる健康経営とは~

東北大学大学院 医学系研究科 公衆衛生学分野

辻󠄀 一郎 教授

県民の健康づくりを応援する「スマートみやぎ健民会議」顧問の辻󠄀一郎教授は、「成果の上がる健康経営とは」と題して講演した。辻󠄀氏はまず「健康経営は『従業員の健康と幸福』『企業の生産性と社会的価値の向上』この二つを同時に目指すもの」と説明。昨年の中小企業の健康経営優良法人認定数が、初年度(2016年)からの4年間で20倍以上に伸びていることを紹介し「健康経営は全国で急速に広がっている。東北6県でもその傾向は顕著で宮城県は昨年から約2倍に増加しているが、人口規模や企業数を考えるとまだ発展途上」と話した。

健康経営が急速に広がった理由を「経営者にとっての価値が認識されてきたことが大きい」とし、「生産性の向上やコスト削減に加えて、従業員を大切にする会社というブランドイメージが、優秀な人材確保につながるという理解が進んだ」と説いた。また、生産性を向上させる大きな要因に「職場のメンタルヘルス対策を幅広く考えること」を挙げ、「精神疾患の予防・治療といった対策に加えて、仕事に対しポジティブになれる職場づくりが、今後のメンタルヘルスの重要な点になる」と強調した。


出典:経済産業省「健康経営優良法人2021(中小規模法人部門)の申請状況」

具体的に健康経営を進める上で、「最も大事」と訴えたのが、経営トップが従業員の健康への思いを持ち、それを従業員と共有すること。「そこをクリアすれば実践は簡単。アプリや製品などの外部資源をうまく使って」と呼び掛けた。さらに「会議室をオフィスから離れた場所にする」「アプリを使って歩数を競い合う」「社内の自動販売機の飲料を健康的なものにする」など具体的な実践例を紹介し、「重要なのは目標を決め共有することと、楽しみながら自然と健康になれる職場づくりを行うこと。それを通じて成果の見える健康経営を目指してほしい」と締めくくった。

TOPIC. 02

職場の健康づくりしっかりサポート
「特定保健指導」の積極的な活用を

全国健康保険協会宮城支部 企画総務グループ主任

三上 知良

全国健康保険協会(協会けんぽ)宮城支部の三上知良氏は、同支部が実施する「職場健康づくり宣言」の概要や、提供するサポートなどについて講演した。まず三上氏は職場健康づくり宣言事業の登録基準の一つ“事業所独自の健康増進対策に取り組むこと”について、「栄養・食生活に関するポスターの社内掲示や階段利用の推奨など、簡単にできることからスタートする事業所が多い。まずは気軽に実現できることから始めて徐々にレベルアップを」と話した。宮城支部が行っているサポートの内容についても説明。宣言1年後に提供する「事業所カルテ」について「従業員の健診結果データをもとに同業種平均と比較ができ、自社の健康課題の把握に役立つ」と利用のメリットについて説明した。

続いて、協会けんぽが行っているサポートの一つとして、健診のメタボ基準該当者に協会けんぽが保健師や管理栄養士を派遣し、生活習慣改善のサポートを行う「特定保健指導」を紹介。「特定保健指導を受けた人の方が、数値改善効果が見られる結果が出ている。費用も無料なので積極的に利用してほしい」と促した。

最後に経済産業省が推進する「健康経営優良法人認定制度」について説明。「認定を受けると社内の健康意識向上や、企業イメージの向上などメリットも多い。ぜひチャレンジしてほしい。申請に関する相談も気軽に問い合わせを」と呼び掛けた。


自社の健診結果データを宮城支部平均および
同業種平均と比較できる「事業所カルテ」を提供

健康経営を進める協賛企業の取り組み

協賛企業の取り組み1

サントリー食品
インターナショナル株式会社

楽しく続く健康アプリ「SUNTORY+」で
日常に“スモールチェンジ”組み込む

ジャパン事業本部 戦略企画本部
イノベーション開発部長
後藤 謙治

サントリー食品インターナショナル株式会社の後藤謙治氏は、同社が開発した法人向け健康支援サービスアプリ「SUNTORY+」の紹介を通じ、健康のための行動変容を起こすヒントについて講演した。

「SUNTORY+」は、緩めの健康行動タスクを日常に組み込めるよう設計された健康アプリ。飽きずに続けられ効果の上がる仕掛けが高く評価されている。後藤氏はアプリ導入で従業員の行動が変わり、かつ継続する理由につながる三つのヒントとして「日常生活の延長線上でできるスモールチェンジ」「インセンティブで習慣化を促す」「アプリ以外の健康への接点を増やし伴走する」を挙げた。特に「生活の動線上にどれだけきっかけを埋め込めるかが重要」と強調し、「SUNTORY+を通じ、体も気持ちも健やかになり、多くの人が明るく健康と向き合う世界を目指して、今後もサービスを磨いていきたい」と語った。

協賛企業の取り組み2

株式会社Revarc(レバーク)

「身体・心・お金」の健康目指し
本気で向き合う社員の幸せ

代表取締役 菅野 正人

企業や個人に向けた経営金融コンサルティングを手掛ける株式会社レバークの菅野正人氏は、同社が実践する取り組み事例を交え、健康経営を「身体、心、お金」三つのポイントにまとめて話した。その中で「心」に関するケアについて、これからの時代は女性が働きやすい環境づくりが欠かせないとし、実施している子連れ出社、学校行事優先に触れ「出産後に戻りたいと思ってもらえる企業を目指すよう、クライアントに話している」と説明。また「お金」の分野では同社が推進する「がんファイナンス」に触れ「がんにさせない取り組み、がんになっても働き続けられる環境を整えていくことが必要」と強調した。最後に「健康経営の実践は、社員を家族と思いその幸せに本気で向き合えば難しくない。会社から大事にされていると社員が感じ、貢献したいと思うことが、会社の利益につながる」と締めくくった。


子育て中の女性社員も働きやすい職場を目指す

「健康経営勉強会」に参加した健サポフレンズの声

情報収集で優良法人
認定目指す

テクノ・マインド株式会社

田中 裕希 さん

弊社は来年優良法人認定取得を目指しており、情報収集の一環になればと勉強会に参加しました。特に参考になったのは、社内の自販機に飲み物に含まれる糖分量を掲示する事例です。数値を可視化することで、一人一人の意識変容に効果がありそうだと感じました。小さなことの積み重ねが大事と分かったので、簡単にできそうなことから取り組みを始めようと思います。

「緩く長く」が
大事と実感

宮城ノーミ株式会社

小林 信一 さん

健康経営はハードルが高そうな印象があったので、緩く長く続けることが大事という話と、具体的な事例紹介が参考になりました。サントリーのアプリは楽しく取り組めそうですね。弊社では6月に健康経営委員会を社内で立ち上げたところです。40代50代のメタボ気味な社員も多いので、まずは運動、食事を通じた健康づくりを取り入れていきたいと考えています。

その他、たくさんのコメントを頂きました

  • 成果を上げるために、特別なことをしなくてはならないと思いがちでしたが、簡単に楽しく長続きするものを考え、実践することこそ大切であることを学びました。
  • 公的なサポートを活用できるのは大事だと思いました。
  • テレワークの影響でコミュニケーションロスが課題となっている現在、「ソフト面をいかに従業員に寄り添ったものにしていくか」を考えるきっかけとなりました。
  • 小さな「できた」で生活の行動変容を進める方法は面白いと思いました。
  • これまで無意識のうちに高いハードルを設けてきたのではないかと反省しました。簡単でもいいから、何か一つでも健康に良いことを見つけ、継続してもらうことを今後広く呼び掛けようと思います。
  • 健康経営はお金をかけるだけではなく、「今いる従業員をいかに大切に考えるか」が大切だという点が印象的でした。
  • 健康経営をどう進めていいのか悩んでいましたが、本セミナーを参考に、焦らず一歩一歩取り組んでいこうと思います。

※本勉強会は、マスクの着用ほか感染症対策を徹底し実施。勉強会終了後にマスクを外し、顔写真の撮影を行いました。

2021年8月11日付 河北新報朝刊_特集紙面 Vol.10より転載

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このページの内容は河北新報に掲載された特集紙面を一部再編集してご紹介しています。
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