河北新報特集紙面2024

2024年10月22日 河北新報掲載 
震災伝承新聞被災地取材レポート①中学生記者が復興の現場へ

中学生記者が復興の現場へ

 東日本大震災の記憶と教訓を将来に託す中学生たちが、宮城県内の被災地を取材し、その成果を「震災伝承新聞」として2025年2月に発行。宮城県内外の中学校や災害伝承施設へ8万部を配布します。今年度で5回目を数えるこの取り組み。今回も仙台市内の3校が参加し、取材のノウハウを説明するオリエンテーションを実施後、聖ウルスラ学院英智中の7人が南三陸町を訪問しました。

体感した学びを
同世代に伝えるために
中学生記者が復興の現場へ

 8月22日、聖ウルスラ学院英智中の7人は、「南三陸ホテル観洋」に到着。女将の阿部憲子さんが一行を出迎えました。ホテル近くの林地区で観測した最大23.9㍍に達する津波により、南三陸町では6割以上の住宅に全・半壊以上の被害が発生。犠牲者・行方不明者は831人に及び、混乱を極めた発災からホテルが避難所となり町民や従業員を支えた日々、さまざまな取り組みで地域の復興を支えてきた道のりについて講話を行いました。震災の記憶を広く伝えるための「語り部バス」にも乗車。阿部裕樹副支配人のガイドで、民間震災遺構「高野会館」などを見学しました。

「高野会館」屋上への階段に達した津波の痕跡を視察
「高野会館」屋上への階段に達した
津波の痕跡を視察

 次の取材先は、2022年にオープンした南三陸町の住民の証言や写真、映像などを継続的に収集・保存する伝承施設「南三陸311メモリアル」。チーフの吉岡一浩さんの案内で館内の展示を見学した後、映像と防災ミニブックを使ったラーニングプログラム「いのちを想う」に参加しました。実際に津波の危機を体験した住民や、近親者を亡くした若者たちなどのインタビュー映像を視聴し、「津波がすぐそばまで迫っていたのに、その場に居続けたのはなぜか」といった難しい設問に関して相互に意見交換。その時の気づきをミニブックに書き込みながら、大災害から命を守る防災について考察を深めました。

一般の来場者も交えながら意見交換する中学生記者たち
一般の来場者も交えながら
意見交換する中学生記者たち

 戸倉地区では、地元若手漁師4人で結成したチーム「戸倉SeaBoys」のリーダー後藤伸弥さん、後藤新太郎さんと対面。中学生記者たちはライフジャケットを着用して漁船に乗り込み、カキ養殖の現場を視察しました。震災後、戸倉カキ部会の漁師が一丸となって取り組んだ日本国内初のASC国際認証(責任ある養殖業のエコラベル)取得に関するエピソードや、独自の交流イベントなどの活動を通して戸倉ブランドの海産物の魅力を発信する取り組みについて詳しく聞くことができました。

海中からロープを引き上げカキの養殖方法を説明
海中からロープを引き上げ
カキの養殖方法を説明

現在、中学生記者たちが取材を振り返りながら、
2月発行予定の特集紙面の制作に奮闘中です!

現在、中学生記者たちが
取材を振り返りながら、
2月発行予定の特集紙面の
制作に奮闘中です!