河北新報特集紙面2024
2024年10月23日 河北新報掲載
震災伝承新聞被災地取材レポート②中学生記者が復興の現場へ
東日本大震災の記憶と教訓を将来に託す中学生たちが、宮城県内の被災地を取材し、その成果を「震災伝承新聞」として2025年2月に発行。宮城県内外の中学校や災害伝承施設へ8万部を配布します。今年度で5回目を数えるこの取り組み。今回も仙台市内の3校が参加し、取材のノウハウを説明するオリエンテーションを実施後、五橋中の8人が山元町を訪問しました。
同世代に伝えるために
9月14日、仙台市立五橋中の8人が、居住地域の5割以上が浸水し、637人が犠牲となった山元町を訪れました。同町でボランティア活動に取り組む学生組織「東北大学地域復興プロジェクトHARU」に所属する農学部2年の遠藤てまりさん、同2年の貫洞美月さんが「山元町震災遺構 中浜小学校」をガイドしました。
福島市出身の遠藤さんと東京都出身の貫洞さんは、東日本大震災の発災時は5歳。被災地支援を行う先輩を介して中浜小を拠点に語り部を続ける「やまもと語りべの会」が、会員の高齢化に直面する苦境を知りました。
同会会員で発災時の校長、井上剛さんに師事し、実地研修4回を経たこの日が2人の初ガイド。中学生記者は、井上校長の判断で屋根裏倉庫に避難し、児童・教職員ら90人が校舎2階まで水没した津波から生還した経緯を伝える2人の説明を熱心にメモしていました。
HARUの2人が津波で17㍍移動した
重さ2㌧の石碑について説明
その後、同会会員の菊地正巳さんがバスに同乗し、磯地区の住民が避難した高台の磯崎山公園や教習生・従業員ら37人が犠牲となった常磐山元自動車学校跡地の慰霊碑を訪問。内陸に移設されたJR常磐線山下駅の周辺には沿岸部から移転した山下第二小や商業施設などを誘致した「つばめの杜」の新街区が広がっています。2017年、同地区に整備された「山元町防災拠点・山下地域交流センター」では、耐震性貯水槽、マンホールトイレほか防災備蓄品などを浅川光喜所長に案内してもらい、災害への備えの大切さを学びました。
山下地域交流センターの
浅川光喜所長が備蓄品庫を案内
農業法人「やまもとファームみらい野」では、島田孝雄社長に災害危険区域に指定された沿岸部の住居跡や農地を大規模集約化した経緯を聞き取り。沿岸部南北8キロに及ぶ耕作地は表土を50センチ掘ると震災がれきが残るため、農業機械の部品交換頻度が高いそう。浸水した土壌の地力を上げながら長ネギ、トマト、サツマイモなどを出荷しており、4年前からは香港にサツマイモを輸出しています。被災した地元農家の雇用確保にもつながる従業員の皆さんによる長ネギの加工作業も見学しました。
やまもとファームみらい野で
稼働する米国製の大型農業機械
現在、中学生記者たちが取材を振り返りながら、
2月発行予定の特集紙面の制作に奮闘中です!
現在、中学生記者たちが
取材を振り返りながら、
2月発行予定の特集紙面の
制作に奮闘中です!