河北新報特集紙面2024
2025年3月20日 河北新報掲載
応援しよう、おいしい宮城のめぐみ
安心安全な野菜や海の幸を家庭に届け、
日々の豊かな食生活を支えている
「みやぎ生協」。
食の宝庫である宮城をより深く知るため、
みやぎ生協が生産者を応援する
取り組みについて迫りました。
宮城の大事な水産物を守りたい!
気候変動による海水温上昇によって大きな打撃を受けたホヤ養殖。かつてない苦境に立たされながらも、 新鮮でおいしいホヤを消費者に届けたいと、若き漁師とみやぎ生協水産担当がタッグを組み奮闘しています。
ホヤが壊滅的な状況に
石巻市谷川浜で、ホヤとカキの養殖業を営む「あつみ屋」代表の渥美貴幸さん。拠点としている鮫浦湾はホヤの種苗採取ができる全国でも珍しい水域です。生育の場としても絶好の条件を備え、甘みがあって栄養価の高いホヤを毎年収穫しています。東日本大震災後の韓国による禁輸措置やコロナ禍での外食需要の減少などの受難が続きながらも、宮城を代表する海産物として着実にその認知と品質を高めてきました。しかし、2023年夏の記録的猛暑で海水温が上昇し、大きな打撃を受けました。「一昨年の7月以降、死滅が目立ち始め、例年の2割程度しか収穫することができませんでした。ホヤは、通常4、5年かけて成長します。2年連続で受けたダメージが今後、大きく影響するのは避けられません」と渥美さんは肩を落とします。
みやぎ生協では、地域の復興を後押しするため14年から『めぐみ野 今朝どりほや』を提供しています。渥美さんをはじめとする生産者が早朝4~6時に水揚げした殻付きホヤは迅速に選別され、その日の昼前後には県内各店舗(一部を除く)の店頭に並びます。磯の香りが広がる新鮮なホヤは好評を博してきました。みやぎ生協水産部門統括の土井健志さんは「昨年は実質、2週間程度しか殻付きホヤを売り場に並べることができませんでした。消費者から、なんでこの時期に宮城のホヤが購入できないのかと聞かれることがよくあり、その理由を説明するのに苦心しました」と振り返ります。
あつみ屋代表の渥美貴幸さん(写真左)と
みやぎ生協水産部門統括の土井健志さん
海中でゆっくり成長するホヤ
天然の種苗を採取し、
4~5年かけて大きくしたホヤを収穫
待ち望む消費者へ
『今朝どりほや』は例年4~8月頃が出回り時期となり、出荷の規格を250㌘に定めて販売。規格に満たないものは、剥き身や加工品などにして商品化しています。「渥美さんら生産者の皆さんの尽力もあって、『今朝どりほや』のファンはますます増えています。消費者に向けて積極的なアピールも行っていますが、やはり新鮮なホヤのおいしさこそが一番の魅力として伝わっているのではないでしょうか」と土井さん。渥美さんは「この取り組みが実現できるのは、朝一番に届けることができる受け入れ体制や流通システムを確立していることに尽きますね」と賛辞を送ります。土井さんは「店舗の立地や交通状況で難しい場合もありますが、より多くの店舗で提供できるようになればと考えています」と展望を語ってくれました。
今年も生産量が減ってしまうのは確実と言及しながらも、「何かできることがないかと地元漁協にも相談しながら対策を考えているところです」と渥美さんは前向き。土井さんは、「今後、どういう状況になるかまだ見当はつきませんが、渥美さんたちが作り続ける限り、宮城のホヤを売り場からなくしたくありません。『今朝どりほや』を待ち望んでいる人たちの頭の中から消さないよう、消費者向けの勉強会やイベントの開催など多彩な取り組み考えていきたいです。また、宮城の海では魚種交替が進んでいると言われており、なじみの少ない魚の水揚げも増えています。地元漁業者の皆さんが事業を継続していくためにも有効な資源として捉え、宮城の水産物の取り扱いを増やしていきたいですね」と意気込みを教えてくれました。
みやぎ生協全店で実施した
「ほや消費拡大キャンペーン」
あつみ屋ホームページ
https://atsumiyanohoya.mystrikingly.com/
- 大切な水産物を余すところなく活用
- コープ東北サンネット事業連合
店舗商品本部 水産部門統括
土井 健志 さん
土井 健志 さん
規格外を活用した「むきほや」
緑豊かな山々のミネラル豊富な栄養分が流れ込む宮城の海では多くの水産物が生産されています。しかし、近年海水温が上昇し、これらに深刻な影響を与えています。
生産者の皆さんは工夫を凝らし続けていますが、「水揚げしてみなければ結果は分からない」という厳しい現状に直面しています。
私たちが生産者、産地のためにできることは、大切な水産物を、余すところなく消費者の皆さんにお届けすることです。サイズの小さい「ほや」は水揚げしてすぐに「むきほや」「蒸しほや」に加工し、通年で供給しています。ぜひ食べて、生産者を応援してください!
- 生産者・産地と消費者をつなぎます
- みやぎ生活協同組合 産直推進本部
事務局長
佐々木 ゆかり さん
2024年度応援キャンペーン
梨の苗を購入した生産者を囲んで
円安の影響で肥料や燃料、飼料など生産にかかる費用は高止まりしたままで、生産者の経営を圧迫しています。高齢化も相まって、廃業を選択する生産者も出ています。
「作り続けること」を応援するために、みやぎ生協では「めぐみ野を買って応援キャンペーン」を実施しています。キャンペーン期間中、1点ご購入ごとに1円を積み立て、新規就農者や生産拡大を目指す生産者に応援金として活用されています。多くのメンバー(組合員)の賛同を得たこの取り組みは、これまでにのべ29組織に9,678,459円を贈ることができました。
これらも生産者と消費者が支えあう関係づくりを、お手伝いしていきます。
- RECIPE
刺身や酢の物で味わうのが定番のホヤですが、それだけではもったいない!仙台水産の御簾納優花(みすのゆうか)さんが、食卓が華やぐホヤレシピを教えてくれました。
ほやとねぎのアヒージョ風
- 材料(2人分)
-
ホヤ 2玉
にんにく 2片
長ねぎ 1/2本
オリーブオイル …… 適量
塩 少々
白だし 小さじ2
七味 適量
糸唐辛子 適量
- 作り方
-
❶にんにくは皮をむき、つぶしておく。
❷長ねぎは2cm幅に切る。ほやは一口大に切る。
❸小鍋にオリーブオイルを熱し、にんにくと長ねぎを小鍋に入れて炒める。
❹ねぎに焦げ目がついたら、具材の半量が隠れるくらいオリーブオイルを注ぐ。
❺鍋に強火をかけ、オイルがグツグツしてきたら弱火にする。
❻長ねぎがやわらかくなってきたらほやを和え、塩を軽く振って混ぜる。
❼白だしを加え、ひと煮立ちしたら七味を振って完成。
POINT パプリカなどの野菜を加えても相性抜群です!
旨味をツルっと!具材たっぷりほやし中華
- 材料(2人分)
-
剥きホヤ 2玉(小さい場合は4玉)
酒 大さじ1
中華麺 2玉
卵 2個
きゅうり 1本
ミニトマト 10個
中華くらげ お好みで
- 作り方
-
❶耐熱容器にホヤと酒を入れ、レンジで2~3分加熱し、蒸しほやにする。
ほやは繊維に沿って千切りにする。
POINT 旨みたっぷりの蒸し汁は中華タレに使うので取っておくこと!
❷しょう油、酢、みりんを耐熱容器に入れ、ラップをせずにレンジで2分加熱する。
❸加熱後、砂糖と蒸し汁、しょうが、レモン汁を入れてよく混ぜる。その後ごま油を入れる。
❹卵はフライパンで薄く焼き、細く刻んで金糸卵や星型に抜く。きゅうりは千切りに。
ミニトマトは半分に切っておく。中華麺はあらかじめ茹でておく。
❺皿に麺を乗せ、すべての具材を盛り付けてタレをかけたら完成。