vol.02

宮城県民の健康づくりは
職場から

INTERVIEW

「健康経営」待ったなし
今すぐ実践を!

辻󠄀 一郎 教授

東北大学大学院 医学系研究科
公衆衛生学分野

健康経営の第一歩は、
働きやすい環境づくりから

昨年10~11月に宮城県内企業を対象に実施した健康意識調査の結果、「健康経営」を知っていると答えたのは44.1%、「健康経営」に取り組んでいる企業は35%と、決して高い数字ではありませんでした。宮城県民の生活習慣改善や健康づくりへの取り組みは、待ったなしの状況であり、今すぐ「健康経営」を実践するべきです。 「健康経営」というと、禁煙やメタボ対策など何かを我慢したり努力したりするような、窮屈なものに捉えられがちですが、実はそうではありません。社員が楽しく生きがいを持って働いていて、経営者とも良いコミュニケーションがとれている。そんな働きやすい職場をつくった結果、生産性が上がる、というところが健康経営の肝心な部分。もっと幅広く考えていただきたいのです。

健康づくり取り組み実態

知らず知らずのうちに健康に 
スモールステップが成功の鍵

私は以前より「健康経営を実行するには、スモールステップから」と勧めています。ではどのようなことが「スモールステップ」なのか。協会けんぽ宮城支部がまとめた好事例集の中からいくつか紹介します。

事例 1

社員のデスクをボタン一つで高さが調整できるようにして、必要に応じて立って業務を行えるようにしました。さらに椅子もバランスボール効果があるものに変え、仕事をしながらエクササイズ効果が得られる環境にしています。

事例 2

社内にトレーニングルームを併設しました。休憩時間を利用して運動が気軽にできるよう設けたものですが、業務終了後もトレーニングルームを開放しており、多くの社員が利用しています。

事例 3

東京都足立区は“野菜を3食しっかり食べる”取り組み「ベジタベライフ」を行い、その一環で野菜をたっぷり使ったメニューを提供する区内の協力飲食店を登録・リスト化しています。区民や区内の企業へ通勤する人たちは、協力店でランチを取るだけで、食生活がより健康的になるのです。

例にあげた三つは、いずれも特別な努力や意識をせずとも日常の仕事や生活の中で実行できるもの。このように、少しの工夫を日々に組み込むことで、知らず知らずのうちに社員の健康状態が良くなるような仕組みを、企業が取り入れることが大事なのです。

自社の課題にフォーカスして 
効率的な取り組みを

いざ健康経営に取り組もうと考えた時、運動も食事もメンタルヘルスも、と最初から張り切って一度に始めては息切れしがちです。そこでぜひ参加していただきたいのが「スマートみやぎ健民会議」。参加すると、健康づくりに取り組む企業としてイメージアップにつながり、会員間で健康に関する取り組みの情報交換ができます。また、協会けんぽの「職場健康づくり宣言」に登録すると、社員の健康診断結果を基にアドバイスを受け自社の課題を確認できるので、まず何からスタートすればいいのかも分かります。一つでも改善の効果が目に見えれば、モチベーションも上がり職場に活気が出て、いい循環が生まれるはずです。まずは小さなことから健康経営実践の第一歩を踏み出してください。

2019年6月11日付
 河北新報朝刊_特集紙面 Vol.2より転載

- Interview -

「健康経営実践企業」と
「学生の企業選びの意識」

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このページの内容は河北新報に掲載された特集紙面を一部再編集してご紹介しています。
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