vol.02
働く人々の心身の健康づくりや生活習慣の改善を、職場で支える「健康経営」。従業員の活力向上から生産性の向上、企業の活性化、さらには業績の向上につながるとして、国や地方自治体でも力を入れている取り組みです。宮城県では「スマートみやぎ健民会議」などで積極的に支援しています。今回の紙面では前回の健康意識調査結果を踏まえ、健康経営を実践するための具体的なアドバイスや活動について紹介。成功の秘訣は難しく考えないことにあり。身近なところを見直すヒントを見つけてみませんか。
宮城県民の健康課題として、メタボリックシンドロームの該当者および予備群の割合が全国下位に低迷しているということを、これまでも度々お伝えしてきました。最新の2016年度のデータもワースト3位となっており、9年連続ワースト3位以内という結果です。
メタボリックシンドロームに至る要因はさまざまですが、「歩かない人が多い」「塩分過剰」など、望ましくない生活習慣も全国と比較して多い状況にあります。まずは県民一人一人が自身の生活習慣を振り返り、改善することから始めていただきたいと思っています。
自分の健康は自分で守ることが基本ですが、多種多様なライフスタイルの中、個人の意識だけでは健康づくりを行うことがなかなか難しくなっています。そこで、例えば「事業所が健康診断100%受診を目指す」「スーパーが定期的に減塩レシピを配布する」など、特別な意識をしなくても自然と健康づくりが実践できる社会環境の整備が求められています。
県では、個人の健康づくりを応援する社会環境の整備に向け、2016年2月に「スマートみやぎ健民会議」を設立しました。328の企業・団体(2018年度末現在)の会員とともに、この推進に取り組んでいるところです。「スマートみやぎ健民会議」は設立から約3年が経過しましたが、今回の健康意識調査では「知っている」が16%、そのうち「登録している」が17.9%という結果となっており、県としてもまだまだPRしていかなければならないと考えています。この会議は、産官学が相互に協力し合いながら、地域・職域、また全てのライフステージにおける健康づくりを推進するための核となる運動です。会議の会員に登録されると、セミナーなど先進事例などを学ぶ機会への参加や、「健康経営」に取り組むに当たっての各種支援を受けることができます。今後、さらにPRを強化し、多くの企業、学校、関係機関・団体などの皆さまに趣旨をご理解いただきながら取り組みを進めていければと考えています。
私も多忙で以前はなかなか運動する時間を取れませんでした。
しかし自宅にルームランナーを購入し、1回30分程度できる限り歩くようにしたところ、体が引き締まってきたように感じています。実は、県職員の男性の2人に1人が肥満傾向という残念な結果も出ています。そこで、職員には年1回の健康診断は必ず受けるよう周知しているほか、県庁内には「燃えろ!体脂肪!」など、階段の昇り降りを奨励するステッカーを貼って、歩く機会の増加を図っています。
宮城県庁内にあるメタボ予防啓発ステッカー。
職員もメタボ予防を心掛ける
県民の皆さまにも気軽に楽しく歩く機会を増やしていただきたいと「みやぎウォーキングアプリ」の配信も開始しました。歩数に応じたポイントを集めて賞品がもらえたり、県内35市町村のご当地キャラクターが登場してコレクションできたりと、楽しい機能もあります。県内各市町村のおすすめのウォーキングコースも掲載しておりますので、観光の際にもぜひ活用していただきたいと思っています。
働く人の健康増進を図ることで企業の生産性や価値の向上を目指す「健康経営」は、県民の健康づくりと地域の活性化に欠かせない重要な取り組みと考えております。県民の健康はもちろん企業の生産力においても全国に誇れる宮城県を目指し、ぜひ「スマートみやぎ健民会議」に登録いただき、私たちとともにできることから取り組みを進めてまいりましょう。
2019年6月11日付
河北新報朝刊_特集紙面 Vol.2より転載
「健康経営」待ったなし
今すぐ実践を!
このページの内容は河北新報に掲載された特集紙面を一部再編集してご紹介しています。
河北新報掲載の特集紙面は以下よりダウンロードできます。