vol.22
宮城県では、11月を「みやぎ健康月間」と定め、さまざまなイベントの開催や情報発信を促進し、職域や地域全体での健康づくりを応援しています。この機会に、運動や食事などの生活習慣を見直すとともに、「分子栄養学」などの新たな知識を健康経営®に生かし、健康課題解決に取り組みましょう。
宮城県では、企業や団体、大学の研究機関などの参画と協働による「スマートみやぎ健民会議」を中心に健康づくりを推進し、生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防・改善のために、「減塩!あと3g」「歩こう!あと15分」「めざせ!受動喫煙・むし歯ゼロ」を掲げています。県では、健康づくりの取り組みを職場や地域全体で共有し、県民運動として発展させるために、2023年度より、「みやぎ健康の日(11月11日)」を含む11月を「みやぎ健康月間」と定め、自治体や企業によるイベントの開催や情報発信を促進しています。
昨年は、「みやぎ健康月間」制定に合わせ、企業や団体を対象とした「みやぎ健康3・15・0(サイコー)フェア」を開催。健康づくりや食育に関する優れた取り組みを行った自治体、企業の表彰のほか、県内の管理栄養士養成大学などを対象に野菜たっぷり・塩分控えめの「ベジプラスメニュー」を募集し、商品化された10品の発表会を実施しました。会場には、スマートみやぎ健民会議応援企業がブースを出展し、健康増進に役立つ商品やサービスを紹介。県内企業による健康経営のセミナーも開催されました。今年も、「みやぎ健康月間」に、同様のイベントが予定されています。
県では、事業所の健康づくりに活用できる「歩数Upチャレンジ2024」も展開。3人一組でチームをつくり、10月から11月の対象期間中の平均歩数が目標(8000歩)を達成すると抽選で賞品が当たるという企画で、歩く習慣づくりをサポートします(申し込みは終了)。働き方改革や健康経営が普及する中、健康づくりを推進する企業も増え、「スマートみやぎ健民会議」の一般会員の企業・団体は、1015団体(24年9月現在)となり、年々増加しています。県民の健康課題解決に、共に取り組んでいきましょう。
●お問い合わせ…
宮城県保健福祉部健康推進課
〒980-8570 仙台市青葉区本町3-8-1
TEL:022-211-2624
健康経営において、近年、大きな課題となっている「プレゼンティーズム」。出社はしているものの、体調不良などにより、パフォーマンスが低下している状態です。今回、ヘルスマネジメントコネクト健康経営研究所・代表理事の岡本直也さんに、薬剤師の立場から分子栄養学を活用した職場の健康管理について伺いました。
「プレゼンティーズムの問題点は、不調であっても病気と診断されなければ、現在の医療制度では解決できず、放置されてしまいがちなことです。こうした心身不調の従業員が増えれば生産性が下がり、大きな経済的損失になります」と岡本さん。個人ではなかなか対処できない健康課題に、事業所全体で取り組む必要性を指摘します。
分子栄養学による健康管理は、簡単に説明すると、栄養状態を高めることで、健康を向上させようというもの。例えば、夕方に疲労を訴える従業員を分析すると、エネルギー切れを起こしているケースも。その際、血糖値を急激に高める菓子パンなどではなく、タンパク質など適切な栄養を摂取できる補食を、事業所が推奨することで改善できる可能性があります。実際に、ある歯科クリニックでは、職員に福利厚生として補食にプロテインバーを提供したところ、従業員の疲労回復やパフォーマンス向上につながったという実例もあるそうです。
「自身の体調不良と栄養が関係していること、腸の状態とメンタル不調がつながっていることなど、体のことをもっと知っていただきたい。健康づくりの研修を会社が実施し、従業員のヘルスリテラシーを高めることも有効です」と岡本さん。自身もプレゼンティーズム解消に向けて、分子栄養学の基礎知識や健康増進に関する情報をセミナーなどで発信。メタボリックシンドロームや高血圧への正しい理解を促すことも、将来の生活習慣病を防ぐことにつながるとアドバイスします。従業員のウェルビーイング実現を目指し、健康経営に取り組みたいものです。
2024年9月22日付 河北新報朝刊_特集紙面 Vol.22より転載
このページの内容は河北新報に掲載された特集紙面を一部再編集してご紹介しています。
河北新報掲載の特集紙面は以下よりダウンロードできます。