社長からのメッセージ
河北新報社代表取締役社長
一力 雅彦
東北の振興に力を尽くす―。1897(明治30)年1月17日に創刊してから、河北新報は一貫してこの精神を貫き、2022年に創刊125周年を迎えました。東北地方に根を張り、地域社会の発展と共に歩みながら、たゆむことなく紙齢を重ねてきました。創業から続く題号の「河北」には、東北が明治維新後に「白河以北一山百文」と軽視されたことへの反骨心と、東北復権への志が込められています。
125年の歴史の中で東北は苦難にも直面し、11年には東日本大震災、東京電力福島第1原発事故という未曽有の災害に襲われました。当社も大きなダメージを負いましたが、被災地の新聞社の責務を果たすという信念で、粘り強い震災報道を続けるなど、再生の後押しをすべく一丸となって取り組んでいます。
震災からまもなく12年。ハード面の復興が進む一方、心のケアなどソフト面の再生は道半ばです。被災者に寄り添い、被災地の実情を丁寧に伝え続け、経験と教訓をしっかりと伝承していくことが大事な役割と考えています。
人口減少やデジタル化は一段と加速し、新聞業界は転換期の中にあります。私たちは新聞が持つ取材力、発信力、情報の信頼性の高さを大切にしながら、紙面での発信とデジタル発信との融合を進めた新たなビジネスモデル構築に努めています。未来の姿を思い浮かべて今何をすべきかを考えるバックキャストの視点を重視し、地域の総合メディアとして明日の扉を開いてまいります。
東北は自然豊かで、共生の精神文化が受け継がれています。東北で暮らす心温かな人々と喜怒哀楽を分かち合いながら、東北発展の志を胸に刻み共に働いてくれる若者を、私たちは求めています。