河北新報特集紙面2021

2022年3月31日 河北新報掲載 
復興の現場に立った中学生記者が伝え継いでいくために。



今できることプロジェクト

宮城野中学校

今できることプロジェクト
赤田 佳優 さん(2年)
 旧山下中学校では自分の命を守る「自助」や助けることができる者たちが協力し合う「共助」を学び、震災遺構中浜小学校では刻々と変化する状況に対応するため、知識と情報収集を掛け合わせて判断し、行動することの大切さを教わりました。磯浜漁港では名産のホッキガイと地域の漁業を守るため逆境に負けずに前に進んできた話を聞きました。私は今回のプロジェクトを終え、災害から身を守る防災や、被害を最小限に抑える減災への取り組み方が変わって、より熱心に取り組んでいくことができると思います。これからも積極的に復興に関わる方法を考え、行動したいです。
今できることプロジェクト
安藤 凛子 さん(2年)
 取材を通じて学び、伝えたいのは、「得た教訓を自分事として生かし、命を守る行動につなげる」ということです。渡辺修次さんは「震災を語ることはつらい。でも、伝え続けることで守られる命がある。多くの若い命が失われるようなことは繰り返したくない」と話しました。その言葉に私はハッとさせられました。過去の災害を、数学や理科を勉強するような感覚で学んでいたことに気づかされたからです。大災害は5分後にも起きる可能性があります。震災を今に生きる行動の指針として命を守る行動につなげることが私たちに求められていると感じました。
今できることプロジェクト
伊東 柊真 さん(2年)
 プロジェクトで学んだのは、震災の被害は甚大で、発生直後の被災者は本当につらい状況だったということです。小学生の頃からテレビのニュースなどで見聞きして知っていたつもりでしたが、実際に足を運んで、人々に直接インタビューする機会を得たことで、想像を超えた「大変さ」を実感することができました。災害は大切な人の命を突然奪い去ります。つらい思いをする人が増えないよう、さまざまな立場の人が、経験を伝える努力していることも分かりました。人は自然の前では無力です。それでも被害を減らす努力はできます。取材で得た経験を伝えていきます。
今できることプロジェクト
薄井 虹汰 さん(2年)
 プロジェクトに参加して、二つの事を学びました。一つ目は、災害が発生したら一人ではなくまとまって行動することが大事ということです。避難所となった旧山下中学校や震災遺構中浜小学校では、避難した人々が協力していたことが印象的でした。緊急時にもみんなで話し合い、交流することで不安は和らぎます。二つ目は、災害はいつ起きてもおかしくないということ。発生を予測することは困難です。いつ起きてもいいように防災マップや家具の転倒防止対策、ハザードマップの把握といった備えが大切です。普段からの心掛けが「減災」につながると信じて生活を見直します。
今できることプロジェクト
今野 雄弥 さん(2年)
 当時2~3歳だった私たちの記憶は薄く、覚えていることは少ないです。被災地を訪問して聞いた話のほとんどが初めてで、想像を超えたつらいものでした。旧山下中学校では、近所付き合いが多い地域だったため、避難所暮らしに大きな混乱はなく自然と役割分担が決まったことを知りました。日常の人付き合いが災害時は共助に結び付く。震災遺構中浜小学校では、発生直後の判断の重要性を、ホッキガイ漁が盛んな磯浜漁港では、漁業復活の取り組みについて学びました。学んだことを防災や人生に役立てていき、多くの人に知ってもらえるように努力していきます。
今できることプロジェクト
佐藤 昇真 さん(2年)
 取材で感じたのは、被害を受けても前を向き、復興に歩む人々の強さでした。津波は大切な人、思い出の詰まった場所や物など多くを奪いました。発生から10年。どれだけ辛い思いを抱えてきたのかは計り知ることができません。取材を受けてくれた方々は自らの苦しい体験を披露し「ほかの人に同じ思いをしてほしくない」と語りました。被災地には今もなお、悲しみに沈んでいる人がいるのです。かつての美しい町並みといった物理的な復興だけでなく、被災者の心も復興してほしい。時間はかかるかもしれませんが、みんなの笑顔が戻るよう、僕たちも応援していくつもりです。
今できることプロジェクト
澤野 花音 さん(2年)
 10年以上も前の東日本大震災は体験したことではあっても、記憶の薄い漠然としたものでした。今回のプロジェクトを通じて、災害発生時にどのように行動すればいいのか、という新たな指針ができました。近所付き合いを良くすれば有事に協力関係を築きやすいと知りました。過去の災害を記した石碑や高齢者の話に耳を傾ければ、避難する際の道しるべになります。どれも今から取り組めることばかりです。過去の災害から得た教訓を今後生きていく社会にどれだけ落としこむことができるかが大切です。今から知識を蓄え、伝え、実践していくべきだと思いました。
今できることプロジェクト
髙橋 恵蓮さん (2年)
 山元町を訪れ、震災10年という節目を再度考えるようになりました。過去にも震災を学んできましたが、それは全て書面や話で見聞きしたことです。実際に訪ねてみて、「3月11日」に何が起こったのか、復興のためにどれだけの努力が積み重ねられてきたのかを学ぶ事ができました。渡辺修次さんからは身近な人たちの大切さ、井上剛さんからは自分を信じる心を、岩佐敏さんからは苦難を乗りこえる努力を教えていただきました。直接聞かなければ分からない事でした。教えてもらった私たちが記憶を次の世代に引き継ぐことが最大の復興であり、未来への希望ではないでしょうか。
今できることプロジェクト
橋本 敬永 さん(2年)
 避難所となった山下中(現山元中)で、語り部の渡辺修次さんが当時の様子を写真パネルを使って説明してくれました。周辺地域は普段から住民同士があいさつやコミュニケーションを密にしており、避難所生活でも役割分担や難しいルールを決めるまでもなく助け合って生活したそうです。災害はいつ、どこで起きるか分かりません。有事に役立つのは特別なルールではなく、「日常のコミュニケーション」だと分かりました。自分が生き残ることは大事です。教訓を得た私たちはさらに、助け合うことが求められるのだと思います。生活の中にある「備え」を見つめ直そうと思います。

2022年3月30日現在