河北新報特集紙面2022
2023年3月30日 河北新報掲載
復興の息吹を感じた中学生記者たちが伝承のバトンを次世代へ。
八乙女中学校
あらはマップ制作に携わった荒浜中の生徒・太見洋介さんと八乙女中の中学生記者
島崎 杜和 さん(1年)
前向く人々の姿 印象的
震災で大勢の人が亡くなり、言葉に表せないほどの苦しみや苦痛があったことは知っていますが、その時の記憶はありません。取材をした誰もが震災での苦しみやつらさを強調していました。どうして僕のような小中学生が、震災のことを当たり前のように知っているのだろう。それは、数多くの人が震災を語っているからです。次は僕たちが次の世代に震災を伝える番なのです。震災の影響は大きく、震災とはこんなにもつらいものなのかということが分かりました。震災で多くの人が悲しみ、苦しみ、亡くなったことを、次に伝承していかなければならないと強く思いました。
佐藤 智威 さん(1年)
元の姿より先を目指す
今回の新聞を作って感じたことは、復興は元通りではなく、被災経験を踏まえることが大切ということです。これまで被災地に行くことがあっても、「元通りになってよかった」「仕事を再開できてよかった」としか思っていませんでした。しかし、被災した方々に話を聞いて、「これまで通りの生活に戻るだけではいけない。元々よりも先へ進まなければならない」と考えるようになりました。自分と同年代の方が自分の街について深く考えていることに気づき、自分の街をより発展させるため、小さなことでも協力していくことが大切だと思いました。
佐久間 菫 さん(1年)
伝えるため学び続ける
今回のプロジェクトは、震災を深く考えるきっかけになりました。当時1歳だった私には、震災の記憶はありません。私のような人に、震災を「伝える」ことが大切なのではないかと、改めて感じました。具体的には、伝えてもらったことを同年代の人、つまり「横」に発信する「伝える」の連鎖をしなければならないと考えるようになりました。他の人に伝えるためには、私自身が震災について知っておかなければなりません。これから次の世代という「縦」にも伝えていくため、何年も東日本大震災を伝え続けていくために、学び続けたいと思いました。
佐藤 潤之介 さん(1年)
秘めたつらさを伝える
今回取材して一番印象に残ったのは「言葉にできないほど」という言葉です。よく聞きますが、どんな人がこの言葉を使うのかは分かってはいませんでした。でも、取材を受けてくださった人が涙を浮かべて震災当時のことを語ってくれる姿を見て、そういうつらい思いをした人たちがこの「言葉にできないほど」という言葉を使うのだと分かりました。そうしたつらい経験を、震災を経験していない世代の人にも伝えなければいけないと、改めて思いました。今後、震災を経験していない世代に伝えるときが来たら、今回取材して学んだことを生かして、しっかりと説明したいと思いました。
田畑 夏美 さん(1年)
現地の恐ろしさを実感
震災当時は1歳で記憶に残っていませんでした。今回の取材で、被災者の人たちはつらい状況を乗り越えて今の町を作っていることを感じました。震災のことは、小学生の頃から授業で教わったりテレビで見たりしていましたが、被災地で話を聞き「恐ろしさ」を実感することができました。震災で大切な物を失い、一からスタートするためにたくさんの苦労を背負い、高い壁を乗り越えてきたのでしょう。震災前に生まれた最後の世代として、震災を経験していない人たちにも今回得た学びを広げていきたいです。取材した私たちだからこそ、率先して広げていくべきだと思います。
髙崎 開 さん(1年)
深く考える機会が必要
私が実際に被災地に取材に行って感じたことは、震災を重大な出来事と考えていたつもりでも実際は震災を軽く見ていたということです。震災で失ったものは多く、精神的にダメージを受けた人たちがいて、震災はとても恐ろしいと改めて実感しました。今回のプロジェクトを通して震災について深く考える機会があり、震災への考えや思いが変わりました。今、一番伝えたいことは震災を深く考える機会を作り、今の世代や次の世代の横のつながりを強くすることです。他学年の人や周りの人と震災について話し合ってみたいと思います。もっと震災について考えを深めていきたいです。
石森 千陽 さん(1年)
学びを伝え未来つくる
震災当時まだ1歳で、記憶は残っていません。当時の状況を映像や文章で知る機会があっても、震災や津波はおぼろげなものでした。でも今回のプロジェクトを通して、亘理町に行き、被災地で活動している人たちの話を聞き、12年前の3月11日に町に何が起きたのか、そこから復興に向けてどのように前進してきたのか学ぶことができました。私たち中学生が実際に被災地を訪れ取材し、記事として伝承することで、同世代の皆さんにも、一人でも多く防災や町作りに今一度考えを巡らせてもらえればうれしいです。大切なのは、私たちが未来を創っていくことではないでしょうか。
藤原 音乃 さん(1年)
語り継ぐ大切さを実感
私が今回の新聞作りに参加してみて思ったのは、メディアで知るのではなく、人から人へ語り継ぐということが大切だということです。震災の状況はネットニュースなどで知りましたが、語り継いでこそ、つらさ、苦しさ、大変さをより強く感じられるからです。取材した方の中には、涙ながらに話してくださる方もいました。ネットで見ていて、震災をもう知ったつもりでいましたが、取材をして自分の知らないこと、分からなかったことがたくさんありました。この経験から、私は震災に対してもっと積極的に情報を集め、全力で復興に協力していきたいと思いました。
鎌田 壮亮 さん(1年)
当時の状況や苦労知る
新聞を取材して書く活動は初めてで、どんなことをするのか分かりませんでしたが、取材に応じていただいた方々の話を聞いて、新聞作りに取り組みやすくなりました。取材を通し、当時の状況や復興の過程、地域の人たちが一番苦労したことなどが分かりました。一番の成果は、町の人の気持ちを知ることができたことです。昼食は荒浜産ノリを使った「海苔のクリームパスタ」。磯の風味が感じられて、とてもおいしくいただけました。地域の食材を生かしていることがすばらしかったです。今回、新聞を作ることで荒浜の復興に少しでも貢献できたのではないかと思います。
2023年3月30日現在