河北新報特集紙面2022
2023年3月30日 河北新報掲載
復興の息吹を感じた中学生記者たちが伝承のバトンを次世代へ。
閖上小中学校
おのくん制作体験でお手伝いをお願いした空の駅の皆さんと閖上小中の中学生記者
板垣 琉奈 さん(7年)
伝承への熱意 受け継ぐ
今回、さまざまな方々の話を聞いたことは、自分自身の防災への取り組みや考え方を見直すきっかけとなりました。これまでも学校の防災学習や避難訓練で震災体験を聞く機会がありましたが、講話をしていただいた大人の方々は、当時の記憶が頭に浮かんでおり、つらい思いの中、震災当時に生まれていなかったり、小さかったりした私たちのためにお話ししてくださっているのではないかということに気付いたのです。私と同世代の子どもたちも、復興や伝承の担い手として、次の世代のためにできることがあるはずです。より真剣に防災学習に取り組もうと強く感じた取材でした。
大保 颯槻 さん(8年)
支え合える人の力 学ぶ
私は今回の取材で、2つの深い学びを得ることができました。1点目は震災による人の心への影響についてです。雁部さんの目の前で人が流されてしまったという話を聞き、本人に直接的な身体への傷がなくとも、心に深い傷を負ってしまうことを考えさせられました。2点目は、復興を通した人とのつながりです。おのくんの制作を体験しながら、被災された方同士が集まり、おのくんの制作に参加することで、つらい中でも、人とのつながりができたという話を聞き、私の中の震災のイメージが変わりました。さまざまな貴重なお話から得られた学びを今後の生活に活かしていきたいです。
小畑 結生 さん(7年)
怖い話 繰り返させない
今回のプロジェクトに参加する前は、震災に関してあまり深く考えたことはなく、授業で教わる程度の知識しかありませんでした。雁部さんの話は、怖くて逃げ出したくなりました。雁部さんが被災した学校で話を聞いてメモしているだけなのに、自分のことのように感じました。事前に、怖かったら聞かなくても良いよと言われていたものの、私は最後まで聞きました。なぜなら、自分が今まで知らないまま、目を背けてきたものだからです。震災当時に何があったのかを知り、考えることは、次の災害に備え、自分自身を守ること。プロジェクトで学んだことを周りの皆へも伝えていきます。
齋藤 温人 さん(8年)
支える側へ 決意新たに
東松島市の取材は、現場を見て当時の話を聞きながら、自分も当時その場にいたかのように、震災の恐ろしさを実感した体験になりました。雁部さんの話で特に印象に残ったのは「災害は一定のサイクルで繰り返される」という言葉です。災害は予測が難しく、だからこそ、いつどんな災害が起きても、冷静に対応できることが大切です。中学生として、周りの小さい子やお年寄りを支える立場になれるよう、より一層、防災学習に真剣に取り組んでいきたいと思いました。震災を風化させないように、自分たちにできることを少しでも多く見つけ、震災を後世に伝えていきたいです。
鈴木 くるみ さん(8年)
未来見据える姿に感銘
私は、この新聞を読んだすべての人に「つらさを乗り越え、前向きに進んでいる人がいる」ことを伝えたいです。お話を聞いた雁部さんは震災後の一時期、震災の話をタブー視せざるを得なくなり、とてもつらい思いをしてきました。しかし、現在は大学で災害社会学の研究をしながら、自身の体験について語り部活動をしています。武田さんは津波で何もかも流され、ただ呆然とするだけだった日々の中に、生きがいを見つけ、震災への想いや願いをおのくんに乗せて世界中へ届けています。頑張っている人たちがいることを、自分の同世代や次の世代にも伝えていきたいと思います。
髙野 柚希 さん(8年)
日常生活の尊さ 再認識
取材で最も印象に残ったのは「震災で学校の友達を亡くし、もっと自分にできることがあったのではないかと後悔した」という雁部さんの話です。「ありがとうと感謝を伝えること、ケンカをしたらごめんねということ、おはようとあいさつをすることなど、何気ない人との関わりを大切にしてほしい。家族がいて当たり前に学校に行く日常を大切にしてほしい」という言葉がとても胸に残りました。雁部さんは語り部活動について「何かの時に、少しでも自分の話を思い出して、役に立てばうれしい」と話していました。私も教わったことを周りの人に少しでも伝えていきたいです。
得地 璃子 さん(8年)
伝承は笑顔守る最善策
取材を通して私が目にしたのは、未来に希望をもって今を生きる方々の姿でした。震災で全てを奪われ、残ったのは身一つ。それでも生きていれば、命さえあれば、こうしてまた笑い合える。そう語る姿は、とても輝いて見えました。震災当時2、3歳の私たちにとり、震災はテレビのニュースや学校での防災教育で知るものでした。こうして直接お話を聞き、その場に自分がいるような感覚を味わうことで、改めて命の尊さを学びました。震災の記憶は今、風化しつつあります。私たちが伝承し、後世へとバトンをつないでいくことが、皆の笑顔を守る最善策になると思いました。
針生 蒼太郎 さん(7年)
被災の実像 認識改めた
私は震災発生時1歳で、当時の記憶は全くと言っていいほどありません。雁部さんの話は、それまで自分なりに思っていた震災の様子とは全く違うものでした。中でも驚いたのは、震災について話すだけでもクラスメートの間に亀裂ができてしまうほどだったとの話です。また、おのくんの取材では、悲しみの中、皆を元気づけるため、被災地復興のため、そして、震災について多くの人に知ってもらうために立ち上がり、活動したとの逸話に感銘を受けました。次にくるかもしれない大きな災害から「大切な命」を守れるように、まずは、周りの人や家族としっかりと話し合いたいです。
2023年3月30日現在