被災3県の中でも東京電力福島第1原発が立地する福島は 復興の遅れが目立ち、風評との闘いをなお強いられている。 被災者や当事者の記憶から福島の足跡を振り返り、復興の姿を展望する。
巨大津波は福島の沿岸部に壊滅的な被害をもたらし、福島第1原発からは全電源を喪失させた。炉心溶融という未曾有の過酷事故によって福島は複合被災地となり、住民らが古里を追われた。
震災と原発事故の複合被災地・福島は、時間の経過とともに混迷の色合いを深めていった。放射能汚染と向き合った住民は分断を迫られ、地域に根差した産業は出荷停止に追い込まれた。
住民でさえ許可なしに立ち入りできない帰還困難区域が設定されたのは、事故から9カ月後。試験操業開始、生活圏の本格除染など被災地の課題や被災者の葛藤が顕在化したのもこの頃だった。
原発事故で被災した人々の生活が一変する中、復興に向けた動きが徐々に始まった。いつ抜けるか見当が付かない長いトンネルを走るような道程。事故前の古里に戻そうと懸命に生きる人々の姿を追った。
震災被災地の中で原発事故があった福島は特別だ。復興へと向かう道のりはとてつもなく長い。しかし歩みを止めるわけにはいかない。福島の行く末を明るく照らそうと進む人たちの思いを紹介する。