東日本大震災からの復興と東北の新たな発展を目指し、河北新報社は2012年1月1日、3分野計11項目の提言をまとめた。再起を模索する被災地の現状をルポしながら、提言の実現に向けた道筋を探る。
高台移住の促進・定着
地域の医療を担う人材育成
新たな「共助」の仕組みづくり
世界に誇る三陸の水産業振興
仙台平野の先進的な農業再生
地域に密着した再生可能エネルギー戦略
世界に先駆けた減災産業の集積
地域再生ビジターズ産業の創出
自立的復興へ東北再生共同体を創設
東北共同復興債による資金調達
交通・物流ネットワークの強化
被災地の基幹産業の立て直しに向け、多様な協業化の本格導入を柱に、資源管理の重要性や産地市場の高度化、浜ごとに分断された漁業者の意識改革といった視点を盛り込んだ。
被災土地を自治体が一定期間借り上げる定期賃借権の設定を盛り込んだ。高台移住した後のまちのデザインや、震災の教訓を伝えるための活動の大切さも訴えた。
自治体相互支援の制度化、東北域内での後方支援拠点の整備を打ち出した。災害ボランティア活動を機動的、効果的に進めるボランティアコーディネートの重要性も指摘した。
仙台に臨床重視の大学医学部を新設し、医師の地域偏在や診療科偏在を解消するアイデアを提示した。地域包括ケア体制の確立や、医療関連産業の集積の必要性も指摘した。
復興局にできる限り多くの権限を移譲し、被災地に密着した復興庁の実現を求めるとともに、被災地起点で構想する広域行政組織創設の必要性を訴えた。
広域行政組織「東北再生共同体」の必要性を訴えた。東北共同復興債による資金調達、投資・経営支援のための再生機構設立のアイデアも打ち出した。
思い切った土地利用調整を前提に被災農地を集約した地域営農の実現を訴えた。農外企業などの異業種参入や6次産業化、産消連携の重要性も指摘した。
来訪者と被災地を結び付ける「東北再生ビジターズセンター」の創設を提案した。地質遺産を公園として活用する「三陸ジオパーク構想」の実現も訴えた。
電力の安定供給に欠かせない蓄電池技術の向上・普及に力点を置いた。風力、小水力、地熱の各発電の有用性を検証し、次世代送電網(スマートグリッド)の可能性も探った。
地域の安全安心を確保する経済・産業活動「減災産業」の被災地への集積を訴えた。研究開発機関やベンチャー企業が入居する「東北減災リサーチパーク」の整備も目指した。
震災を教訓に、社会資本整備の考え方に「命を守る」視点が加えられた。基幹となるインフラの一体整備はどうあるべきか。道路、空港、鉄道、港湾の現場で考えた。