河北新報特集紙面2012

2013年3月6日 河北新報掲載 エンディング特集 <後編>

自分でできることを、探した、見つけた。そして動いた。

「今できること」が、多くの人の心を動かし、アクションにつながった。

「今できることプロジェクト」では、いろいろなスタイルで支援する人・団体と、支援を受ける人・団体の様子をわかりやすく連載してきました。また賛同企業の方と被災地視察バスツアーを 4回にわたって実施。さらに一般読者の方とも「被災地気仙沼を訪ねるバスツアー」を実施し、被災地の方にさまざまなことを直接お聞きする機会を設けました。こうした活動に対して、読者の方、企業の方、またプロジェクトの特設サイト・フェイスブックに、多数の方からご意見・報告・感想・激励などの声が寄せられました。

「今できること」の記事を読んで、自分も始めた。気づいた時から、できることから。

仙台市若林区 会社員
高平 周子さん

何か、きっかけがあれば、自然に始められる。

今できることプロジェクトの取り組みをきっかけにボランティアを始めた高平さん

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1月下旬、「杜の都チーム ドルフィンドリーム」の活動に参加し、長町の仮設住宅でハンドケアのボランティアをしました。それまでボランティアの経験は一切ありませんでした。参加したのは「今できることプロジェクト」の紙面がきっかけです。
1月11日の朝刊で、ドルフィンドリームの活動に参加した方とケアを受けたお年寄りの話が紹介されていました。2人の写真が満面の笑顔で、素敵だなと思ったんです。ボランティアは埼玉県の男性でした。お年寄りの記事には、関東から家族で来た女の子にマッサージをしてもらい、とても気持ちが良かったとありました。

無理に言葉にしなくても、きっと伝わることがある。

女の子にケアを施す高平さん(左)。「手が柔らかくて、逆に癒されました」とにっこり=1月25日、仙台市太白区の仮設住宅

「遠くからボランティアが来ている。仙台の私が何もしないなんて、いけないな」。ハンドケアのようなボランティアなら私にもできそうだと思い、やってみることにしました。
当日は2人にケアをしました。2人目は津波の被害を受けてすべてをなくされたというご高齢の女性でした。わたしは津波を免れた地域に住んでいるので、慰める言葉が出ません。その分、心を込めました。最後に肩を組んで写真を撮れたので、気持ちは伝わったのかなと思います。

喜んでもらえると、ふつうに、素直に、うれしい。

全国各地から1000人の参加を目標に、「ふれあい癒しを学んでボランティア1000人募集プロジェクト!」を展開している

活動を通じてボランティアや被災者の現状について知りました。参加した仲間にも恵まれ、交流も生まれた。想像した以上に素晴らしい経験をしました。
震災から2年が経ちます。ずっとボランティアを続けている人、私のように始めたばかりの人、経験のない人。いろいろな人がいます。応援したい気持ちがあるなら、それぞれが気付いた瞬間からできることを始めればいいのではないでしょうか。わたしも続けていきます。

ボランティア参加者は研修を受けてからハンドケアを施す。未経験者の参加も多い。

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「杜の都チーム ドルフィンドリーム」は、一般社団法人IDTAセラピスト協会(宮城県利府町)が展開する被災地支援プロジェクトの一つ。被災地の仮設住宅などに毎月複数回、ボランティアを派遣し、ハンドケアを行う。同協会は昨年12月、仙台市若林区にココロとカラダ元気サロン「COCOKARA SALON」もオープン。被災地の女性が運営しており、就労支援につなげている。