2015年4月19日 河北新報掲載 みんな動いた。思いがつながった。元気と笑顔が広がった。
「今できることプロジェクト」2014年度の活動は、賛同企業と市民が一緒になって「情報発信型支援」「観光型支援」「ボランティア型支援」を実践。
3月には子どもたち向けの「こども未来応援教室」も開催しました。
さらに、観光型支援に関連して、被災地の商店街を元気づける「ポスター展」を企画。
さまざまな広がりが生まれた新しいプロジェクトでした。
女川ポスター展
[実施] 2015年2月21日(土)~5月31日(日)
ポスターづくりで商店の新しい魅力づくり。
「今できることプロジェクト」が2014年度の活動を開始するにあたり、最初に考えた企画は、女川町を対象とした「アイデアの力と観光で地域を元気にするプロジェクト」でした。商店のPRポスターを作り商店とまちの活性化につなげたい、ポスターはクリエーターに作ってもらおう、という企画の方向性が固まってきました。
2014年8月、女川町の商店に企画への参加を呼び掛け、同時にボランティア活動を基本とするプロジェクトの趣旨に賛同した参加クリエーターを募集。完成したポスターは店頭ほか各所で展示するだけではなく、訪れた人にお気に入りを投票してもらう「女川ポスター展総選挙」も開催することにしました。
参加商店は42店。クリエーターは宮城県を中心に約60人の有志が結集。半年間かけて制作したポスターは約200枚に及びました。2015年2月9日、完成したポスターを初めて各商店主に発表、贈呈。21日には各店店頭ほかで展示し「女川ポスター展」が開幕しました。
現地の人にも参加してもらい、一緒にアクションをすることによって、より活発な動きにつなげる「今できることプロジェクト」の新しい試みでした。
開幕初日の「女川ポスター展」
「女川ポスター展」投票所にて
制作監修者から
電通関西支社
CRプランニング局
日下 慶太さん
思わず笑顔になる面白いポスターで明るい彩りに満ちた女川に。
「今できることプロジェクト」担当者から声をかけられ、ぜひ東北でもポスター展に挑戦したいと思いました。そこで、仙台のクリエーターに参加を提案。やはり、被災地で行うことに慎重な意見が多かったのですが、その中の1人が発した「今こそ、広告で面白いことを仕掛けるべきだ」という声に全員が奮起し、プロジェクトが始動しました。
大阪の「文の里商店街ポスター展」は、シャッター街の活性化と若手クリエーターの育成が目的でしたが、女川町は事情が全く違います。何度も町を訪ね、地元のみなさんと対話を繰り返しましたが、一見元気そうに見えるけれど、どこか不安を抱えている人が多いと気づきました。そういう女川の人たちに、決して震災を忘れることはできないけれど、これから前を向いていこうと思える元気を生み出したい。ポスターには、手に取った人たちが思わず笑顔になってくれるものであることを望みました。
商店街の壁にたくさんのポスターが並んだのを目にした時、まるで花を植えた気分になりました。商店主や買い物客が、ポスターを話題におしゃべりしたり笑ったりしてくれて、どこか寂しい被災地の空気に華やかな彩りが生まれたような気がしました。このポスター展が多くの笑顔によって迎えられ、とても幸せに感じています。
参加商店から
お魚いちば おかせい
岡 芳彦さん
何かをちゃんと表現して伝えていく。その気持ちを力強く押してくれるものだった。
女川のとくに浜の人というのは、自分もそうだけど口下手で表現が苦手でシャイな人たちが多い。ただ震災後は、口下手だろうがなんだろうが、ちゃんとしゃべってアピールしなければ何も気付いてもらえない状況だったから、なんとかして意見を話そう、表現しようと思い始めていました。そういう気持ちを、ポスター展は後押ししてくれるものだったと思うんです。いろんなメディアも取り上げてくれているし、各店の販売促進にもなっている。うちも関西や東京で販売活動をした時も反応がよかったね。「一助になった」どころか、町が明るくなったし「奇跡」のようなこと。本当に感謝です。女川駅が開業して町がまた変わったし、これからもっと女川の復興の動きが活発に進んでいってくれればと思っています。
「女川ポスター展」5月31日(日)まで開催中!
現地でしか見れない約200枚のポスター!
作品投票も5月31日まで受付中。投票所は、現地5カ所に設けています。投票対象のポスター以外にも、クリエーター力作のポスターは合計約200枚あります。シリーズもの、ストーリー性のあるもの。各店店内でぜひご覧ください。
話題拡散中!
3/5・6「丸の内東北応援フェア『マル・デ・ミヤギ』」(東京丸の内)、3/7~13「東の食の食いしん坊祭り2015」(東京池袋)、4/1~14日仙台三越でも、「女川ポスター展」が開催されました。
facebookでも作品投票受け付けています!情報発信型支援
情報発信を学んで、被災地で実践するプロジェクト
情報発信セミナー&バスツアー
[セミナー] 2014年10月25日(土)・27日(月)
[バスツアー] 2014年11月2日(日)
情報収集、写真撮影と発信を実践。七ヶ浜の元気と魅力を体感。
震災から3年半以上が経ち、いま被災地はどうなっているんだろう。そんな思いを胸に七ヶ浜町を訪れ、情報収集・発信を実践しました。事前に行われたセミナーでは、震災時にSNSが役立ったという講師の話もあり、新しく始めてみようという参加者もいました。カメラ講師からは、構図の取り方や被写体をどうとらえるか、基礎知識を学び、現地での写真撮影に生かしていました。
訪れた松島四大観のひとつ多聞山は七ヶ浜の景勝地でした。地元の皆さんがボッケ汁と唐揚げを振るまってくれました。ボッケは地元の近海漁業で晩秋の約1カ月間、少量だけ捕れるとあって、とても貴重な食事でした。漁師さんも、ボランティアを続けているNPOの人も、復興に頑張る七ヶ浜の姿を熱く語ってくれました。参加者の皆さんは、それぞれの思いを込めて、情報発信にトライしていました。
観光型支援
アイデアの力と観光で地域を元気にするプロジェクト
女川町の商店と街を訪ねる観光型支援
[バスツアー] 2015年2月21日(土)
商店のポスターを見にいく。広がりのある観光スタイルを提案。
2014年度の観光型支援は、420件を超える応募の中から選ばれた約50名が参加して女川町を訪れました。女川水産業の復興のシンボル女川魚市場買受人協同組合の冷凍冷蔵施設や、女川中学校生徒たちなどが募金活動をして建てた「いのちの石碑」、女川町の復興計画を展示した「復興まちづくり情報交流館」などで、女川の復興の様子を体感しました。
そしてこの日のメーンのアクションは、初日を迎えた「女川ポスター展」の見学でした。復興に向かう商店に元気になってもらうため、クリエーターたちが個性的な発想で各商店の魅力を掘り起し、情熱を注いで作ったポスター。面白い工夫をこらしたデザインやコピーは、ツアー参加者や観光客に大好評でした。商店主と観光客、または観光客同士の会話のきっかけにもなっています。商店街を訪ね、お店の人と会話、買い物をすることも大きな支援のひとつです。
ボランティア型支援
鎮魂と復興を願うボランティア活動プロジェクト
閖上追悼イベントで飾る絵灯篭作り
[実施] 2015年2月28日(土)
高校生語り部から話を聞いた。みんなで力を合わせ、追悼の絵灯篭作り。
ボランティア型支援は、「3・11閖上追悼イベント実行委員会」の協力により「追悼イベントで飾る絵灯篭作り」に参加しました。絵灯篭製作に先立って、被災地閖上の現状を見学。地元の宮城県農業高校の生徒さんたちが語り部として閖上小・中学校、日和山を案内してくれました。
高校生語り部や、地元の人の話を聞いた後、参加者は追悼の祈りを込め絵灯篭作りをスタート。全国から寄せられた絵や文字が描かれた紙を、絵灯篭の枠になる台紙に貼っていきます。2人1組になったり、班ごとに別れたりして作業を行いますが、細かい仕事で大変な作業でした。それでも参加者の皆さんの頑張りで、目標であった合計約2000セットを達成することができました。この日参加者みんなで作った絵灯篭は、3月8日・11日の追悼行事の際に灯され、鎮魂の明かりとなりました。
復興を担うこどもたちを応援
こども未来応援教室
[実施] 2015年3月22日(日)
[会場] 尚絅学院大学(名取市)
プロから学ぶ、体験する。将来の夢、自分の道。
午前の部は、「社会科学習」3教室を実施しました。自分たちの住む地域の将来やこれからの復興を担う子どもたちに、教育という観点からの支援として興味深い学習プログラムを提供しようと、「今できることプロジェクト」を推進している賛同企業が、企業の思いを伝えながら面白い授業を展開。実験やクイズなどを通して、今まで知らなかった企業の活動を知ることができたと好評でした。
午後の部は、今子どもたちの関心が高い仕事について、その仕事のプロの方に実際に授業を行ってもらう「シゴトワークショップ」7教室(ダンサー、モデル、消防士、電車運転士、アニメ、研究者、獣医)を開催。各教室は、子どもたちの熱心な表情と笑顔に満ちていました。
風化はさせない。みんなの思いと力を持ち寄って
さらにプロジェクトは、進み続けます。
「今できることプロジェクト」2014年度活動に、大きなご協力、ご支援ありがとうございました。新しい2015年度活動については、あらためて紙面にてお知らせいたします。特設HPを、引き続きご覧ください。
賛同企業50社の大きな支援によって活動しています。
「今できることプロジェクト」2014年度活動は、プロジェクトに賛同・参画いただいている50社の企業のご支援・ご協賛によって成り立っています。あらためて賛同企業の皆さまに感謝申し上げます。
「今できることプロジェクト」特設HPでは、賛同企業の独自の復興支援活動についても紹介しています。ぜひ、ご覧ください。