河北新報特集紙面2015

2016年1月9日 河北新報掲載
レポート こども支援プロジェクト メモリアルイベントの開催
「中野小のこどもたちを一緒に応援する日」 こどもたちは、力強く歩み始めた。

レポート こども支援プロジェクト メモリアルイベントの開催 「中野小のこどもたちを一緒に応援する日」 こどもたちは、力強く歩み始めた。

開催日・会場/2015年12月4日・日立システムズホール仙台 コンサートホール(仙台市青年文化センター)
参加者/児童・保護者・観覧者 約700人

今できることプロジェクトは、震災の津波で被災し今年3月に142年の歴史に幕を下ろす仙台市立中野小学校(宮城野区)のこどもたちを応援するメモリアルイベントを開催しました。
太鼓演奏に先立ち、こどもたちから会場の皆さんに向けて発せられたメッセージは、多くの方々への感謝の気持ちとともに、しっかりと前を向いて自分たちのこれからを見つめ歩いていこうと、一人一人から力強く、堂々と発表されました。このメッセージに続いて全校児童40人で演奏した太鼓は、心の奥深くまで響く素晴らしいものでした。
その後、プロジェクトの趣旨に賛同したMay J.さんの熱唱があり、さらにこどもたちと合唱。会場は大きな感動に包まれました。

【動画】今できることプロジェクト2015「中野小のこどもたちを一緒に応援する日」

卒業生も懐かしい、たくさんの思い出

中野小の歴史を振り返る写真や映像を上映しました。昔校庭にあった中野小のシンボル杉の木のこと、こどもたちの学びと遊びの場だった蒲生干潟のこと、地域の人と一緒に楽しんだ祭りや運動会のこと。たくさんの思い出がありました。
また、事前に募集していた中野小在校生への応援メッセージの一部を発表。震災後に中野小を支援してきた東北楽天ゴールデンイーグルスの嶋基宏選手、ベガルタ仙台アンバサダー平瀬智行さんからのビデオメッセージも紹介しました。

40人全員で、心を込めた太鼓演奏

中野小のこどもたち全員による太鼓演奏は、伝統の「ぶち合わせ太鼓」。従来6年生が中心に活動してきた太鼓を40人全員でやろうと決めて以来、ずっと練習してきました。全員で呼吸を合わせ、思いを込めて打った、観客の心を動かすパフォーマンスでした。

自分の言葉で堂々とスピーチ

震災以降のつらい体験や多くの支援を受けたことなど、こどもたちが、それぞれの思いを自分の言葉で、みんなの前で堂々とスピーチしました。こどもたちは、もう自分たちの明日に向かって力強く歩み始めていました。

May J.さん、この日のために選曲した歌を熱唱

プロジェクトに賛同し10月にも中野小を訪問したMay J.さんによるライブ。4曲を歌った後、こどもたちを1人ずつハイタッチで舞台に迎え、一緒に復興ソング「花は咲く」を歌いました。
最後に中野小のこどもたちを代表して6年生の十二町優希さんが、会場の皆さんへの感謝の気持ちをスピーチしました。

それでもこどもたちは前に向かう
そんな強いこどもたちを応援したい

10月にも、中野小学校を訪ねて学芸会を見せてもらったり、一緒に給食を食べたり、楽しい時間を過ごさせてもらいました。
今日は中野小のみんなが、ずっと練習してきた太鼓を披露してくれて、一人一人スピーチして自分たちの気持ちも話してくれました。聞いていてとても感激しました。ここにいる皆さんに私は歌を届けることで、少しでも何か力になれたらなと思いながらも、いろんな思いがこみ上げてきてしまって、途中で思わず泣いてしまいました。
私だったら自分が通っていた小学校がなくなるということは、想像もできないほどの出来事。それでもこどもたちは前に向かって歩こうとしている。笑顔で進もうとしている。ほんとうに強い子たちなんだなと思いました。スピーチの中にあった「どんな向かい風にも負けずに一歩一歩前に進み続ける」、そんな強いこどもたちを、ずっと応援したいです。

「Let It Go~ありのままで~」「ALL I WANT FOR CHRISTMAS IS YOU」「ビリーブ」「Sparkle ~輝きを信じて~」の4曲を歌ったMay J.さん

中野小学校6年
伊藤彩羽さん

みんなでやりきった中野小太鼓
最高の思い出ができたよ!

10月の学芸会直後からずっと一緒に練習してきて、本番ではみんなの心が一つになったような気がしました。練習では難しいと思うことも多くありましたが、一つ一つクリアできたので、今日はとにかく「やりきった!」という気持ちでいっぱいです。学校がなくなってしまうのは悲しいことだけれど、良い思い出もたくさん作ることができたので、それらを大切にしながらこれからも頑張っていきたいです。

メモリアルイベント 参加者の声

こどもたちに晴れの舞台を設けていただき感謝します。

今日こどもたちの気持ちを聞き、一番大事な感謝の気持ちをなくしていないことを確認できました。全員参加で心を一つにした渾身の演奏でした。みんなが一つになれたことをこれからも大切に、それぞれの場面でまた成長していってほしいと思います。ここまでこどもたちを導いてくださった校長・教頭をはじめ先生方、ありがとうございました。

中野小学校PTA会長
伊藤裕二さん

中野小で培われた精神を糧に、大きく羽ばたいて。

学区内の私たち4町内会は、中野小閉校より早く12月末で解散します。4月以降はこどもたちも新天地の学校で学ぶということになります。今日の太鼓は、こどもたち全員が主役でした。そして何よりも一人一人のメッセージがみんなしっかりしていました。悲しみの気持ちを超えて、今日こどもたちはとても大事なものを得たのではないかと思います。

宮城野区港町内会長
佐藤武夫さん

こどもたちのメッセージに感動しました!

私のこどもや夫の出身校でもあるため、思い入れを感じて応募しました。特に印象に残っているのは、児童一人一人が発したメッセージです。学校が被災してから4年9カ月の思いが言葉の端々から伝わってきました。その後の太鼓演奏もとてもすばらしかったです。周囲の支援や応援があったからこそ、こどもたちも頑張れたのだと思います。

仙台市
遠藤玲子さん

積み重ねてきた伝統の結晶と力強いエネルギーを感じました。

これまで積み重ねてきた142年の伝統や、震災に負けないこどもたちの力強いエネルギーを感じたイベントでした。完成度の高い太鼓演奏も、その伝統があればこそだと思います。
当社も被災地の復興支援をしていますが、復興を牽引するのは人々の力強さだと感じています。今後も復興を後押しし続け、未来につなぐため助力していきます。

三菱地所 東北支店
吉田哲朗さん

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