2013年・第76回
入賞作品
日本画
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洋画
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彫刻
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審査員総評
日本画
福王寺 一彦 氏[日本美術院]
岩絵の具や箔(はく)の使い方、背景の表現など技術的に優れた作品が多く、全体的にレベルは高かった。特に賞候補以上の作品は中央画壇と変わらない水準で完成しており、順位付けが難しいほどだ。
選外の作品とちょっとした差が出るのは、描くときの集中力の違いだと思う。緊張感を持って時間をかけたものは画面のどこを見ても良い。そういうところに絵を描く人の気持ちが表れるものだ。丁寧な仕事を心掛けて描き続け、出品することに挑戦してほしい。
岡村 倫行氏[日展]
他府県の公募展と比べて出品数が多く、質もかなり高いと感じた。落選作の中にもいいものがあった。
上を目指すには、描きたい対象を徹底して写生し、そこから発見したものを表現につなげていくことが大切だ。音や匂いなど、視覚以外の体で捉えた要素を作品に盛り込んでほしい。感動をどう絵画化するかが問題で、それがないと作品にはならない。受賞作には心を動かされた気持ちがよく出ていた。構図に迷った場合は、白と黒に分けて考えるといい。
洋画
村田 省蔵氏[日展]
東日本大震災後、初開催だった前回に比べ、良い意味で暗さがなくなった。希望と力が見えてきた。
若者が多いことにも希望を感じた。抽象画は前向きな作風が多く、夢いっぱいの面白い作品が目立った。雪の絵もかなり見受けられたが、雪国の人の描く雪は違う。さすがだと思った。
震災後、出品者は絵を描くことで復興を支え、自分も絵に力づけられてきた。来年の作品はもっと良くなる。世の中の動きに惑わされず、純粋な気持ちで描き続けてほしい。
大津 英敏氏[独立美術協会]
明るい兆しを感じさせる空や降り注ぐ光を描いた作品が心に残った。震災から一歩ずつ前進しているという内面が表現できている。「心の復興」に向かっているのだと感じた。
若い方の出品が多く、完成度が高いのには驚いた。若い人にありがちな漫画チックな作品が多いわけではなく、むしろ、真摯(しんし)に取り組む姿勢が感じられる作品が印象的だ。
秀逸な抽象絵画が数点あったのも収穫。優れた表現方法であると、出品作から再認識することができた。
櫃田 伸也氏[無所属]
思ったより明るい絵が出て来ている。色が欲しくなったのだろう。ただ、明るい日常を描いたように見えて、根は深い悲しみや怒りが満ちている。若者も年配者も現実よりも幻想を描いているものが多かった。東北が本来持っている深い闇が存在すると思えた。
ただ、絵を描くことで元気を出そうとする気配を感じた。来年どう変化するか興味がある。苦しみ、悲しみ、喜び、希望をすくい取る器として絵画がある。美術展がその表現の場、立ち直る場になればいい。
彫刻
能島 征二 氏[日展]
点数は少し減ったが、大きな作品やいろいろな素材の彫刻が出ていて充実していた。全体的に高いレベルの作品がそろい、特に大きな人体彫刻にいい作品が見られた。高校生や東北以外の人が出てきたのもいい傾向だ。ただ、抽象的な作品が少なく、寂しかった。
落選した作品の中には、表現があいまいだったり、何を作りたいか狙いがはっきりしなかったりした彫刻が見られた。一生懸命作っていれば、いい作品が生まれることは間違いない。続けることが大切だと思う。
概要
第76回河北美術展 | |
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会期 | 2013年4月26日~5月7日 |
会場 | 藤崎本館7・8階 |
日本画 | 出品137点、入賞8点、入選65点、入賞・入選率53.3% |
洋画 | 出品818点、入賞18点、入選283点、入賞・入選率36.8% |
彫刻 | 出品34点、入賞5点、入選14点、入賞・入選率55.9% |
審査員 | 日本画=福王寺一彦、岡村倫行、洋画=村田省蔵、大津英敏、櫃田伸也、彫刻=能島征二 |
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